Skypeのデモは概ね静止画像に指を指してジェスチャーすることに限定されていたが、「Holobuilder」を体験すれば、HoloLensにできることとできないことを極めてインタラクティブな形で学ぶことができる。HolobuilderはAR版のMinecraftと考えるといい。HoloLensを装着すると、筆者の周りの部屋のスキャンを開始し、デモ用にあらかじめ作成された体験をマッピングした。足下を羊がちょこちょこ走り、タップでそれらの羊を追い払うことができた。壁にはダイナマイトが掛けられており、そのダイナマイトを爆発させると、その向こうに大きな洞窟が見えた。
Holobuidlerは実際には周囲の環境からブロックの世界を構築するため、非常に細かい部分にまで注意が払われる。例えば、ゾンビを撃退するために目の前のたくさんのベンチを吹き飛ばすと、破壊された木材の破片の模様はベンチと全く同じだった。見事である。
別のデモでは、HoloLensは火星探査機「Curiosity」が撮影した高解像度画像を使って、ユーザーが動き回ることのできる3D環境を構築した。何もかもが本物のようだ。本物のような岩、本物のような砂、本物のような火星の空、本物のような火星の山脈が遠くに広がっている。美しい写真を使った巧妙な錯覚にすぎないことは分かっているが、それでも、筆者はぽかんと口を開けた表情を正すことができなかった。
HoloLensは奇想天外で満足のいく体験を提供してくれたが、もっといろいろなことを実現してほしいと感じた。現在のところ、HoloLensの操作手段は、凝視と空中で指を動かしてカーソルをタップするジェスチャーに限られている。それらは問題なく機能するが、現実世界の動きを模倣した、より洗練されたジェスチャーが必要だ。
例えば、穴を掘りたくなったとしよう。シャベルが欲しいと叫べば(音声入力の精度は素晴らしい)、シャベルが表示されるが、掘る作業は腕を動かすジェスチャーではなく、タップ操作で行わなければならない。ダイナマイトを爆破するときや、野生動物を追い払うときも同様だ。タップ操作でも目的は果たせるが、筆者は動物をつつきたいと思った。土をかきわけて穴を掘ったり、ゾンビを弾き飛ばしたり、目の前の平面をひっかいたりしたかった。
確かに、プロトタイプハードウェアにいろいろと要求するのは時期尚早なのだろうが、それは、Microsoftがこの分野で陥ろうとしている落とし穴である。HoloLensはまだ初期段階であるにもかかわらず、自分でも欲しいということに気付いていなかったAR体験を筆者に提供してくれた。そして、その体験を試し続けてみたいと思った。
筆者はHoloLensを使って会議をしてみたいと思っている。この驚くべきARの世界で、コンピュータ関連のあらゆる懸念に対処したい。自分の狭いアパートの中に目もくらむような迷路を作って、適切なツールを持つすべての人が見られるようにしてみたい。しかし、これはもっと重要なことだが、Microsoftが次にどこへ向かおうとしているのかを知りたいと思う。現在のところ、見通しは非常に明るい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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