仮想現実(VR)ヘッドセットとスマートメガネの中間に、「メディアゴーグル」というカテゴリがある。ほかにもっと適切な名前がないのでそう呼ばれているが、モバイルディスプレイとしても機能するヘッドセットのことだ。この種の製品は10年以上前から、家電見本市会場の目立たない場所にひっそりと展示されてきたが、ヘッドマウント式ウェアラブルやVRの台頭によって復帰を果たした。
ヘッドバンドの内側にアイウェアが組み込まれた大型ヘッドホンを想像すれば、どんなものなのか大体把握できるだろう。これらのガジェットは、サイボーグのように目を覆うようにして装着する。筆者は先週ラスベガスで開催されたCESで、将来性のありそうな機種を2つ試用してみた。いずれも2015年中に発売予定で、VRヘッドセットにかなり近いものだが、主な用途は動画の視聴とゲームプレイだ。
Avegantの「Glyph」は2014年に発表された。その光学技術は、DLPディスプレイ技術とマイクロミラーを使って画像を目に直接投影するという革新的なものだ。Glyphの720pの映像は一般的な小型ヘッドマウントディスプレイよりもくっきりと明るく表示され、レンズで映像を拡大するVRヘッドセットで生じる「スクリーンドア」効果(映像に格子模様が重なって見える現象)も抑えられている。筆者が試用した最新のプロトタイプでは、映画「How to Train your Dragon 2」の一部が再生されていたが、筆者が視聴したときには何本かの線状ノイズが発生した。Glyphの映像は、まるで目の上に小さな映画館を置かれたかのように見える。スクリーンが小さな箱のような区域の奥にあり、一定の距離があるような感覚を作り出している。
Glyphは音質も明瞭で、低音が豊かだ。エンターテインメント向けであることは間違いないが、一部のVRタイプのゲームや拡張現実の用途に利用することも理論上は可能かもしれない。内蔵の加速度センサとジャイロによって頭の動きを追跡することができる。また、360度動画のデモでは、筆者は自分の周囲を見回すことができたが、その効果はサムスンの「Gear VR」などのVRゴーグルに比べると、滑らかさという点で大きく劣っていた。Avegantが開発中のさらに視界の広いバージョンでは、より没入的な視界範囲が実現し、ドローンの操縦といった用途に使用できるようになる可能性がある。
AvegantのGlyphは標準のHDMI入力を採用しており、スマートフォン(「iPhone」や「Android」など)、ゲーム機、テレビなど、思いつく限りのあらゆるデバイスの2Dコンテンツと3Dコンテンツを表示することができる。Glyphは、さまざまな利点を持つヘッドマウント式の720pディスプレイだ。筆者は試しに自分のiPhoneを接続して、Netflixの番組をいくつか再生してみた。
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