アイルランド政府はニューヨーク州の連邦第2巡回区控訴裁判所で申し立てを行い、米国政府に対し、アイルランドの主権を尊重するよう求めた。文書には、「アイルランドは、自国の主権を守るために外国の裁判手続きに介入しなければならない、との示唆を受け入れるわけにはいかない」と書かれていた。しかし、アイルランド政府は、同国に保存されているデータへのアクセスの許可を検討する可能性があるとも述べた。
アイルランド政府のDara Murphy氏は現地時間12月23日、声明の中で、「データ保護を担当する大臣として、私はアイルランドの視点から、この複雑な案件で提起されたさまざまな問題を詳細に検討してきた。これは、国の政策の重要な原則に関わる問題だ。政府の同僚と詳細な協議を行った結果、アイルランド政府はこの案件に関連する原則を中心に据え、犯罪事件での共助に関する既存プロセスを指摘する法廷助言者文書を米国の裁判所に提出すべきだ、ということで合意に至った」と述べた。
文書によると、米国とアイルランドが2001年に調印した条約により、両国は事件の証拠を相手国に譲渡して、法執行機関の活動を助けることができるという。米国の裁判所が何らかの判決を出す前に、この問題に対する見解を表明するようアイルランドに求めてきたMicrosoftは、この文書は同社にとって有利な材料だと考えてきた。
米国政府とMicrosoftは、麻薬事件に関与しているユーザーが送信した電子メールをMicrosoftが提出すべきかどうかをめぐって、1年前から法廷闘争を繰り広げている。
ニューヨーク州判事は2013年12月、Microsoftは犯罪捜査と関連のあるユーザーの電子メールを米国政府に提供する義務がある、と述べた。Microsoftは、それらの電子メールがダブリンにある同社サーバの1つに保存されていることを発見した後、米政府が私的な電子メールを「加入者やそのデータが格納されている外国政府への通知や同意」を得ずに収集する権利はないとして、米国政府の要請を拒否した。Microsoftは、保存された通信内容に関する電子通信プライバシー法(ECPA)の規定は米国外には適用されないと主張している。
Microsoftの懸念とは裏腹に、裁判所は7月、電子メールを提出するようMicrosoftに命じた。Microsoftは再び拒み、米国には国外居住者のメール通信にアクセスする権利はないと主張している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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