企業が業績を伸ばしていくためには、既存顧客だけでなく、新規顧客開拓が不可欠となる。しかし、実際には新規顧客開拓のための活動を担うマーケティング部門、顧客と対面する営業部門の活動が連動せず、分断されたままというケースも多い。
営業支援ツールを提供するソフトブレーンでは、ツールを活用するとともに、分断されていたマーケティング部門と営業部門の連携を実現した。同社はどのように営業部門とマーケティング部門の分断を変えていったのか。なぜ、マーケティング部門と営業部門は分断してしまうのか。実際に最前線でマーケティング部門と営業部門の連携を指揮した、ソフトブレーンで取締役本社営業本部長兼営業企画支援部長を務める長田順三氏に、ZDNet Japanの編集長である怒賀新也が聞き手となって、その解消策を聞いた。
「分断を解消するためにどうすれば良いのか。それは分断を分業に変えていこと」――このセッションのテーマでもある、マーケティング部門と営業部門が分断している点をどう解消していけばよいのか。という怒賀の問いかけに、長田氏は明確にこう答えた。
「マーケティング部門と営業部門をつなぎこむ方法の1つが分業だ。マーケティング部門が新規訪問すべきリストを作る。そしてそのリストをもとに、営業部門がアポイントを取り、営業活動を担うというサイクルを変更する。アポイントと実際の営業を分業する」
アポイントを取るべき相手のリストは、マーケティング部門がコストをかけ、新規顧客獲得のために見つけ出したものだ。ところが、そのリストをどう活用しているのかは営業担当者の裁量に任されている。それが問題であるというのが、長田氏の見方だ。
「作られたリストの活用成果が、ブラックボックス化されている企業が多い。何件アポイントに成功し、そのうち何件が成約したのかといったことを可視化し、そのリストはROIという観点から良いリストだったのか、悪いリストだったのかまで判断するべき。リストがイベントの出展で得られた名刺からできているものであれば、成約率が低かった展示会には出展する必要がないといった判断もできる」
マーケティング部門が作ったリストの活用状況を可視化する仕組みを作った後は、「ソフトブレーンの場合、新規アポイントは派遣スタッフが担当する分業制を採用」し、分業化を実現したという。時給1000円のスタッフが月間70件のアポイントを取る。これは営業マン自身がアポイントを取っていた場合と比較すると、コスト的にも、アポイント取得件数も大幅に上昇する。
「マーケティング部門の役割は売り上げ、受注を増やすための活動、一方営業は実際に売り上げをあげるための活動。分断した両者の体制を、分業体制へと認識を変えていくことで連携をはかることができる」と長田氏は指摘する。
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