そもそも営業担当者が、マーケティング担当者が作った新規顧客獲得のためのリストをうまく活用しない理由について長田氏は、「営業担当者が忙しいから」と指摘する。営業担当者が自分でアポイントを取り、営業をかける場合は、新規顧客向け営業よりも既存顧客のところに出向く傾向がある。そこで新規顧客へのアポイントは、アルバイト社員が取る分業を実現させる。その後、必要となるのが情報共有の仕組みになる。
「顧客接点が増えると売り上げが上がる。リストからどれくらいアポイントが取れ、案件化した顧客の数がどれくらいなのかといったことを情報共有することができるエンジンが必要ということだ」
情報共有の仕組みとしては、Excelで作成した新規顧客リスト、メールによる情報共有をしている企業が多いが、「情報共有の仕組みがバラバラだと、ITツールが逆に仕事の足を引っ張ることがある。連携がないバラバラのツールを使って仕事をしていると、営業担当者にとって報告書を書くことが仕事ということになってしまう」とツールの問題を指摘する。
連携がないバラバラのツールではなく、1度のレポートで全て情報共有ができるツールを利用することで営業担当者の生産性が向上することになる。さらに、営業に出向いて、どの程度成果があがっているのか成果を共有することで、「本当は行かなくてもいい営業先に出向いていた率がどの程度だったのかを可視化する」という。
営業成果の可視化、1度のレポートで情報共有ができる仕組みという2つの要素が必要になる。「それがない状態で営業成績を上げろといっても、根性論になってしまう」
レポートの際には、「スマートデバイスを活用し、移動中でも仕事ができる仕組みを作ることで、仕事の効率がさらに上がる。ノートPCを使う場合、利用するまでのランニングタイムだけで30分かかる。この30分のランニングタイムを年間に換算すると364時間、1人あたり109万円、20人の営業担当者がいる場合、2000万円を超える余分なコストがかかっている」と話す。無駄なコストを使わなくて済む、デバイスの選択も重要だということだ。
長田氏が所属するソフトブレーンでは、情報共有のためのツール「eセールスマネージャー」を提供している。このツールでは、マーケティング部門から営業部門への情報共有のためのつなぎこみ、問い合わせ、アポイントの種別が問い合わせ傾向分析としてリアルタイムでグラフ化することができる。
「きっかけを作った見込み顧客(リード)から、どれくらい案件化できているのかを確認することができる。会議の際、Excelを使っているとデータのドリルダウンができない。さらに、タイムライン機能で日々の活動を自動的にアップデートするため、これまでの経過を確認することもできる」
長田氏は、「会議が報告会になっていてはだめ」と指摘する。活動の集計はIT側で担いその結果を見て、次の対策を考える場とするのが会議の役割というのが長田氏の指摘だ。
「営業をかけて、即それを購入したいという顧客はあまりいない。顧客を育てることが必要だ。そのためには営業先の情報が必要。例えば、営業先の情報として『電気メーカー向け部品製造業務』というだけでは十分ではない。もっとターゲット企業を明確化し、営業をかけている部門はどんな部門なのか。どんな役職の人と会うと成約率が上がるのかといった情報を共有し、確認する必要がある」
アポイントに結び付かなった場合でも、再度、セミナーの来場を呼び掛け、その後、成約となるケースもあるという。こうした情報をふまえ、1度成約に結びつかなかった顧客の動向も含め、ツールの活用、情報共有の重要性を長田氏はアピールした。
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