12月4日のCNET Japan Live 2014 Winterで、「高速で『カイゼン』し続けられる組織・環境のつくり方」と題したセッションが行われた。登壇者は登壇者はA/Bテストプラットフォーム「Kaizen Platform」を運営するKaizen PlatformのSales&Optimizer Development Leadである鬼石真裕氏。インターネット事業における業務プロセスや運用ルールをどのように改善していくかについて講演した。
Kaizen Platformは、A/Bテストを行うために必要なエディターや解析ツールを備えたプラットフォームサービス。ウェブサイトを投稿すると、独自のアルゴリズムにより、効果の高いデザインを自動表示してくれる。また、世界中に散らばる1300人のグロースハッカーが新たなUIの提案をしてくれるクラウドソーシングサービスでもある。
企業が成長すること、すなわち「グロース」について、鬼石氏は「時間×お金→成長」という式で表現し、「グロースハック」とはこの式の「→」の部分の効率を上げることだと説明する。また、事業を円滑に進めるためのマネジメントの手法である「PDCAサイクル」をいかに高速にまわしていくかが勝負を決めると述べ、そのために「投資サイズを小さく、サイクル期間を短くたくさん、変化への対応を早くする」ことが重要であると主張している。
ではなぜ「グロースハック(継続的改善)」が求められるのか。
それは、現代においてはもはや消費者側の変化の方が早いからだ。Fastaskの調査によると、15~24歳にとっては「インターネット=スマートフォン」であり、スマートフォンからの1日のネット接続時間は、テレビや雑誌、PCからのインターネット閲覧時間を上回っているという。PCとスマートフォンでは操作・入力のUIが大きく異なっており、求められるデザインも変わってくる。
「スマートフォンはよりシンプルで、直感的であるほど良い」と鬼石氏は説明する。隙間時間にすぐアクションできるように、少ない構成要素の中でコントラストをつけることが大事なのだという。
また、指が届く範囲と押しやすさも重要なファクターだ。ユーザーを右利きと想定した場合、タッチの難易度は画面の場所によって変わり、中央から左下にかけては押しやすく、左上では難度が上昇する。また、左利きのユーザーも考慮すると、アクションボタンはなるべくファーストビューの下部に設置することが望ましい。
しかし、こうしたUIにおけるトレンドも、つねに一定というわけではない。スマートフォンが大画面化するなど、短期間での環境の変化にともなって、最適解は変化し続けていく。だからこそ、高速で継続的に改善していくことが重要なのだ。
一方で鬼石氏は、「マーケティングツールは、マーケティングの本質的な問題を解決してはくれない。マーケティングツールは魔法ではない。だから使う側が大事」とも語る。グロースハックの必要条件は「一定の規模」「リスクテイク」「実行までのスピード」の3点であり、企業文化や風土と改善しようというメンタリティ、そして行動が伴って初めて結果につながるのだと説明する。
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