音楽聴き放題「Spotify」のクロスプラットフォーム戦略--事業開発トップが語る

 音楽ストリーミングサービス「Spotify」は2014年でサービス開始から8年を迎える。当時、大きな問題として取り上げられていた音楽の不正ダウンロードに対して、選択肢を与えることを目的に欧州でスタート、2011年には米国進出も果たした。

 「音楽を全員に」をモットーとするSpotifyのフォーカスは何か――Spotifyのグローバルビジネス開発担当トップのJorge Espinel氏が11月、米国のモバイルイベントで語った。


Spotify グローバルビジネス開発担当トップのJorge Espinel氏

Spotifyは「モバイルファースト企業」に

 Espinel氏はまず、Spotifyの現状から語った。現在、Universal Music、Warner Music、Sony BMG、EMI Musicをはじめ、インディーズ系とも提携し、2000万曲の楽曲を揃える。展開国は58カ国。西欧州が中心で、北米では先にカナダで開始したところだ。南米では2014年に入り、ブラジル、コロンビア、メキシコなどでサービスを開始した。

 これらの国では合計で4000万人のアクティブユーザーが利用しており、そのうちの25%にあたる1000万人が有料サービスに加入している。ユーザーの多くが18~24歳(36%)、25~34歳(26%)で、PCやモバイルでのSpotifyの平均利用時間は1人平均146分、つまり一日2時間半近くSpotifyで音楽を聴いていることになるという。

  • 2013年に開始したモバイル向け無料サービス「Free Mobile Tier」

 だが、Spotifyは若年層向けにサービスを設計しているわけではないとEspinel氏は述べる。「幅広い世代のユーザーがいつでも、どこでも音楽を楽しめる、全員のためのサービスを目指す」という。そこで重要になるのがクロスプラットフォーム戦略だ。同社は2013年にスマートフォンで無料でSpotifyを楽しめるサービス「Free Mobile Tier」を導入した。有料版と比べると音質が劣り、オフライン機能やオンデマンド機能もない。この他、ダウンロードができないなどの制限はあるものの、自分のプレイリストを楽しめるほか、「シャッフルモード」により新しい楽曲を発見できる。

 音楽をどこででも(Music Everywhere)というビジョンを掲げるSpotifyにとって、Free Mobile Tierの導入は重要なマイルストーンになる。「われわれはデスクトップで無料で利用できるサービスとしてスタートした。モバイルでも無料の体験を提供したかった」とEspinel氏は語る。

 それにあたって、モバイルを利用するユーザーを満足させるために正しい体験の構築にフォーカスしたという。「Free Mobile Tierにより、Spotifyはモバイルファースト企業となった」とEspinel氏は宣言する。その効果は出ているようだ。Free Mobile Tierを導入した2013年12月から約1年、モバイルでの利用は3倍に増えたという。

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