ウェブ閲覧などの履歴に応じてメールの配信ができることは(3)でも触れましたが、設定条件に応じた自動アクションは顧客へのメール配信にとどまりません。履歴情報と閲覧情報とを組み合わせて顧客の現状価値を判定するスコアリング、履歴の状況に応じた営業担当者へのリアルタイムでのアラート通知、一定条件を満たす場合に自動でのメール配信停止(そこから先は人間による個別対応に移行する)など、マーケティングや営業活動の効果効率の向上につながるさまざまな仕掛けを設定することができます。
マーケティングオートメーションシステムは現状では、BtoBでは商談機会創出まで、BtoCでは店舗やECサイトへの送客までを守備範囲としています。よってその先は、他のシステムへデータを連携することになります。
BtoBでは、Salesforce.comの「Sales Cloud」やMicrosoftの「Dynamics CRM」などと標準で連携する機能を持っていることが多く、顧客データの双方向同期、商談生成状況、商談金額、商談成約金額などが同期されます。また、ECパッケージとの連携を持つシステムもあります。また、標準で持っていない連携が必要な際には、APIを通じたデータ連携の開発で対応することになります。
マーケティング施策は、計画〜実施〜改善をくり返していくことが大切になりますが、その実現を支援するのが、施策の統合管理とレポーティング機能です。施策の管理とは、「目標」「対象」「内容」「実施時期」「投入した予算」「施策で得た直接的な顧客の反応(例えばメールのクリック数やセミナーの申込み数など)」「施策を通じて創出された商談数」「創出商談金額」「成約商談数」「成約商談金額」「目標達成率」などを把握し評価することです。
また、個々の施策と合わせ、全体をふかんした評価もすべての施策が一元管理されているので簡単に実施できます。もちろん、評価そのものは人間が決める必要があります。評価材料が常に一元管理されていていつでも確認できる状態にあるということがポイントです。
これらの機能はもちろん個別のツールやそれらの連携によって実現することもできます。しかし、多くの企業では、マーケティング部門が「勝手に使っている」ツールの連携開発にIT部門が携わることは少なく、それが故に各ツール間のデータ連携を担当者による手作業で運用しているのが多くの会社での実情です。
結果的に、マーケティング担当者は、やりたいことを諦めるか、非常に業務効率の悪い中で仕事をせざるをえなくなっています。いずれにせよマーケティング成果が出にくい環境に陥っています。マーケティングオートメーションシステムによってそれらの多くが解消されるだけでなく、個別ツールの連携では成し得なかったこともできるようなるのです。そこにおけるIT部門の役割は小さくありません。
次回は、実際にマーケティングオートメーションシステムを選定導入する際に、どのような検討候補があるのかと、IT部門として考えるべきことを整理したいと思います。
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