朝日インタラクティブが6月19日に開催した「CNET Japan Live 2014 Summer あらゆるモノがつながる世界~IoTが起こす新ビジネスイノベーション~」の講演で、 IntelのIoTソリューションズ事業開発部 安齋尊顕氏が「IoTの最新トレンドとインテルの戦略」をテーマに講演した。
Intelが、IoT(Internet of Things)の重点分野として注力している、エッジデバイスのインテリジェント化、システムオブシステムズを実現するネットワーク、APIやHadoopを含めたデータセンターソリューションの3分野に焦点を当て、同社の構想について解説した。
。安斎氏は、今後上記のような状況が現出すると指摘する。情報量の爆発的増加、エネルギー確保、人口の偏在とそれに伴う課題はいっそう複雑化していくことが見込まれる。ITは、これらにどう対処していくのか。
メインフレーム、PC、インターネット、さらにモバイル化という1990年代から現在までの、IT産業の流れを概括した安斎氏は「IoTは注目されてきているが、それ自体がマーケットというわけではなく、人間が介在することなく、膨大なデータを生成し、さまざまな分野で変革を起こすプラットフォームなのだと言える。2020年には500億台のデバイスがネットワークで接続され、新しいサービスやビジネスを生み出すといわれている」と話す。
2020年には、全世界のデジタルデータの総量は40ZB(ゼタバイト)になるとする。Intelが支援している中国のスマートシティプロジェクトでは1日に録画される映像データが6.7PB(ペタバイト)になっている。Intelの工場では、1時間当たり5TBのデータが記録されている。同社自体、ビッグデータを生成している。
米国の医療業界が、ビッグデータによって得る可能性のある売り上げは年間6000億ドル(およそ54兆円)とされる。巨大なデータの塊は、経済的利益の源泉になり得るのだ。
IoTが成長するためのポイントは3つあるという。「1つ目は、デバイスのインテリジェンス化だ。従来、組み込み向けのCPUに求められる要件は、振動に強いなど耐久性が重視されていた。だが、今後は、よりインテリジェンスでサーバ側の目的達成に貢献することが求められる。Intelは、Xeonからクオークまで、用途別のMPUを提供しているが、Quark X1000は、チップサイズはAtomの5分の1、消費電力は10分の1に抑えた。いっそう低消費電力のMPUはほかにもあるが、x86のコードが、この電力量で動くことの意味が大きい」と、安斎氏は話す。
また、ワークロードコンソリデーションの重要性が高まる。これは基本的に、多様な機器の管理を統合、集約化する発想だ。例えば、従来、産業用機器は、PLC(Programmable Logic Controller)やHMI(Human Machine Interface)、ビジョンシステム、モーションコントローラなどが並立し、おのおの、個別なコントロ―ルが必要で、複雑化していたため、仮想化技術とマルチコアCPUを用いて、これらの機能(ワークロード)を、単一のプラットフォーム上で、包括的に管理することを目指すという。
安齋氏は「物理的なスペースの節約、システムの複雑性を低減化、ソリューション全体のコスト削減などを実現できることが利点だ。また、ワークロード間通信は、CPUコア間のやり取りとなるので、よりセキュアになるほか、管理すべき機器が減り、信頼性が向上する」と語る。
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