6月19日、「あらゆるモノがつながる世界~IoTが起こす新ビジネスイノベーション」をテーマに「CNET Japan Live 2014 Summer」が開催された。モノのインターネット(Internet of Things : IoT)がどのようにビジネス変革をもたらし、われわれのライフスタイルやワークスタイルが変貌していくのかについて、講演やパネルディスカッションなどが実施された。
ここでは、パネルディスカッション「農業が変わる--企業参入やIoTで"ビジネス"へと変貌」の模様をお伝えする。
パネリストは、ルートレック・ネットワークスの代表取締役である佐々木伸一氏、日本電気(NEC)の新事業推進本部 シニアエキスパートである大畑毅氏、井関農機の営業本部 夢ある農業応援プロジェクト推進部の常務理事である大込敏夫氏の3名。モデレーターは、アジャイルメディア・ネットワークスの取締役CMOであり、ブロガーでもある徳力基彦氏が務めた。
徳力氏 何でもインターネットにつながるIoTは、世の中における最後の秘境、新大陸と言われています。一方で、農業はインターネットから一番遠いと言われていた業界ですが、日本の人口問題や自給率の問題を考えると、世界的にも重要な可能性のあるレイヤであるといえます。
今回はIoT、インターネット、テクノロジと農業に絞って意見を交わしていただきたいと思います。まずは現在の農業の課題についての考えをお聞きします。
佐々木氏 私は1980年に大学の工学部を卒業し、それからIT業界に30年おります。農業については2010年からわずか4年しか経っていませんので、会場にお越しの方々とほぼ同じような経歴といえます。
農業の課題についてですが、高齢化やTPPなどさまざまな問題がありますが、一番の問題は担い手不足だと思っています。北海道では農家数がここ数年で半数になるといいます。担い手がいないので、このままでは自然消滅してしまうのではないかと懸念しています。
大畑氏 農業という新領域に入って4年ほどになります。現在の農業の問題点は、製品やサービスを提供していく側の視点から考えると、さまざまな方との協力関係や知識などが欠けている点だと感じています。農業はさまざまな分野の人がパートナーを含め、協力しながら取り組むべき領域だと思います。
大込氏 日本人は、3世代さかのぼるとほとんどの方が農業だといわれています。日本の農業機械は、もともと軽量化や省力化を求めて作ってきました。それによって農業従事者が要らなくなり、そうした人材が企業に入って日本の経済を支えたことも事実だと思います。しかしその結果、高齢化、後継者不足などによって農業の就業人口が大幅に減ってきています。
現在、土地がありながら耕作をしていない土地が、全国で40万ヘクタールもあります。それから、ふるさとに土地はあるけれど都会に出て働いているという「不在地主」も増加しており、荒れ放題の土地がたくさんあるのが現状です。
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