新iPhoneの噂、WWDCとGoogle I/Oに見る両者の戦い--松村太郎のApple一気読み

 6月24日~6月30日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。

新iPod touchは2万800円から、従来モデルも値下げ
新iPod touchは2万800円から、従来モデルも値下げ

 2014年も上半期が終わり、後半戦へと突入した。Appleは上半期のうちに、MacBook Air、iMac、iPod touchといった主力製品の一部を刷新し、特にどの製品も全体的に値下げし、より価格の安いモデルが追加されたことに注目だ。

 また、WWDC 2014を6月2日より開催し、秋に公開されるiOS 8、OS X Mavericksの新OSと、iOS向けにスマートホームや健康管理が行えるHomeKit、HealthKitといった開発環境を提供した。加えて、新しい開発言語であるSwiftを発表し、より身近で強力な開発環境の提供に余念がなかった。

 例年、後半にはiPhone、iPad、ハイエンドなMac製品のアップデートが待っている。最も注目を集め、最も多くのApple製品が購入されるシーズンが訪れることになる。

 それでは、先週のニュースを振り返っていこう。

画面が大型化するiPhone、7月に生産開始

 筆者が東京からサンフランシスコに戻る際、ビザの説明をしていると、SamsungのGALAXY S4を使っている米国の入国管理官が「次のiPhoneはどうなるんだ?」と尋ねてきて入国審査自体の時間が長引いてしまった。画面が大きくなる噂を知っており、「もしそうなれば、すぐに買い換える」と宣言していた。

 スタンダードモデルが4インチから4.7インチへ、そして更に大きな5.5インチモデルが登場するとみられる次期iPhoneについて、7月から製造が開始されるとの報道がなされた。2014年中に8000万台の新型iPhoneを販売すると見込んでいるが、その9割が4.7インチになると報じられている。

 Amazon.co.jpでは、次期iPhoneのモックとされる商品が販売されており、一般の人も入手できる。金属のボディは角が落とされ、非常にスムーズな触り心地を実現しており、より軽くより薄くなると見られている。

 もし2種類のディスプレイサイズが実現したとしたら、多くの人が悩むことになりそうだ。これまで通りiPhoneをポケットに入れて軽快に利用したい場合は、小さいことを優先して4.7インチモデルを選ぶのが良さそうだ。一方でタブレットもPCも使わず、全てをスマートフォン1台で済ませたいというユーザーなら、多少価格が高くても5.5インチモデルに投資するのもいいかもしれない。

画面が大型化する次期「iPhone」、7月に製造開始か(6/25)

プロ向け写真編集ソフト「Aperture」開発終了

 AppleはWWDC 2014で、iPhotoからPhotosへ、Macを含むAppleのプラットホーム全体における写真編集・管理アプリを刷新することを発表した。それは「Aperture」の開発を終了し、プロ向けの写真編集アプリがラインアップからなくなるということでもある。

 Photosには、確かにiPhoto以上にわかりやすい写真のパラメータを変更して編集できる機能が搭載された。しかしプロ向けではなく、またモバイルを中心とした使い勝手を想定したものだ。プロのアプリケーションがAdobeへと移行しても引き続きMacを使い続ける可能性はもちろん低くないが、Macそのもの、またはiPhone・iPadが、コンシューマーへと一気にシフトし、環境整備をし直しているのが現在だ。

 さまざまな動作がモバイル化されていく中で、写真の使い勝手をモバイルで再構築する上で必要な機能は何か。そうしたアプローチでPhotosが設計されているとすれば、Apertureとその無料版のようなiPhotoがiCloudとかろうじて連携している現状を壊す必要があったのだろう。

 面白いのは、iPhotoがなくなることで、iTunesやiMovieといったiLifeアプリの牙城が崩れたことだ。例えば、iTunesは現在、iOSでは「ミュージック」という赤いアイコンのアプリで扱われている。またPhotosに強力な写真編集機能が備わるなら、ビデオを閲覧するためのものだった「ビデオ」にも、iMovieのような編集機能が付くのだろうか。

アップル、写真編集アプリ「Aperture」の開発を終了--アドビは移行支援へ(6/30)

Androidからの反撃はあるか? Google I/O開催と既視感

 AppleとGoogleの戦いは、6月に双方が行った開発者会議で意外な方向へと進み始めたように思われる。

 6月下旬に行われたGoogle I/OでGoogleが披露したAndroid Lを含むプレゼンテーションは、Appleが6月上旬にWWDC 2014で行ったそれを繰り返し観ているようだった。車との連携は既にAppleが実現していたことだが、スマートホーム連携、健康情報の連携などは、Appleが考えていることとほとんど同じだ。

 ただし、GoogleにはAndroid Wareというウェアラブルデバイス向けのOSと、具体的な製品が既にあるが、Appleにはまだない。

 AppleのTim Cook CEOはWWDC 2014の場で、Androidのことを断片化されたセキュリティの低い存在だとして「地獄の毒シチュー」と表現した。これに対して、GoogleのAndroid責任者であるSundar Pichai氏が、その指摘は当たらない、と反論している。

 また、ブランドを誇示するAppleに対して、Samsungは製品の長所を消費者が評価していると牽制した。噂ベースのiWatchが取り沙汰されているが、現在の消費者は懸命な決定を下すためのノウハウと情報を持っていると指摘した。

 ただ、Samsungの主張に対しては、同意できない部分がある。本当にユーザーが性能だけでスマートフォンを購入していたなら、特にそうした情報や購入資金も豊富な、米国や日本のような先進国で、AppleのiPhoneがトップセールスを取り続けていることを説明できないからだ。

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