Appleは、「iOS」上で「Safari」だけに与えてきていた性能の一部を開放することを決定した。
Appleは長年にわたり、ウェブページの表示やウェブアプリの実行に用いられる「WebKit」と呼ばれるソフトウェアを開発してきた。WebKitは、Safariの中核を成すが、Appleは、iOS 7上にある他のアプリが利用可能な別バージョンも提供してきた。これは、JavaScriptやHTMLなどのウェブテクノロジに基づいたユーザーインターフェースの開発を考えている開発者にとっては便利なものとなっており、Googleの「Chrome」やOperaの「Coast」にとっては不可欠なものとなっている。なぜなら、Appleは、他社が独自ブラウザエンジンをiOSに持ち込むことを禁じているからだ。
しかし、これらサードパーティー開発企業にとって、少しだけ問題となることがあった。それは、Safariだけがある種の恩恵を受けることができ、サードパーティー製ソフトウェアが使っているWebKitよりもJavaScriptを高速で実行できるということだ。しかし、Appleの「Worldwide Developer Conference(WWDC)」において、WebKitエンジニアのAnders Carlsson氏によると、iOS 8ではもはやこのようなことはないという。
「何年にもわたり、少しだけより強力なものを望む声が皆さんすべてから多く寄せられていた」とCarlsson氏はWWDCで述べた。そのため、Appleは、WebKitを利用するiOSおよびOS Xに向けて「WKWebView」と呼ばれる新しいプログラミングインターフェースを開発した。
「このモダンなAPIが持つ目標の1つには、Safariだけでこれまで利用可能となっていた機能の多くについて、皆さんにアクセスを与えることだ。例えば、JavaScript Nitroエンジンが持つ能力すべてがそうだ」とCarlsson氏は述べ、JavaScriptプログラムを実行するApple製ソフトウェアについて言及した。
これは、一般の人たちにも利点となる。多くのアプリはウェブテクノロジを利用しており、プログラマーが新しい性能を活用すると動作がより早くなり、機能がより多く利用できる。
しかし、その恩恵を最も受けるのはサードパーティーブラウザで、そのなかで最も注目すべきはGoogleのChromeだ。Android、Window、Linux、OS X上でChromeは、Googleの「Blink」ブラウザエンジンを利用する。同エンジンは、2013年にWebKitから派生している。しかし、iOS上でGoogleは、AppleのWebKitを利用する必要があった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したもので す。
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