Appleは米国時間6月2日、サンフランシスコで開催の同社年次カンファレンスWWDCにおいて、「iOS 8」を正式に発表した。同社は例年、「iPhone」と「iPad」向けのソフトウェアの進化をWWDCで発表している。新機能が満載の発表内容には、「ウィジェット」の追加や、サードパーティーアプリへの「Touch ID」の公開、ユーザーが使うほど学習する新しいキーボード、ホームオートメーション用のソフトウェアなどがある。カンファレンスに出席した開発者には、2日にiOS 8のベータ版が配布されたが、ほかのほとんどのユーザーがこの新しいソフトウェアに触れることができるのは2014年秋になる。
詳細に入る前に1つ確認しておきたいのは、iOS 8のビジュアルデザインに変更はないということだ。2013年にフラットなアイコンを導入して大幅に変更されたデザインが踏襲されており、全体的なソフトウェア機能の増強に重点が置かれている。
ウィジェットはiOSをめぐる大きなうわさの1つだったが、iOS 8のウィジェットが、「Android」のようにホームスクリーンのアイコンを大きくしたような外観を持っていたり、動作をしたりすると考えてはならない。そうではなく、イベントやロック画面からでも応答できるように、通知センターの機能を強化したものだと考えたほうがよい。メッセージへの返信だけでなく、たとえばeBayへの入札などもできるようになる。iPadユーザーはこれに加えて、iPad向けのタブビューと、アクセスが便利なサイドバーも使えるようになる。
操作面でも少し便利になった点がある。ホームボタンをダブルタップすると、最近使ったアプリが表示されるのに加えて、最近やりとりした人に素早くアクセスできる。そうした人々との会話は数回のジェスチャーで始められる。
Appleは2013年、Touch IDがサードパーティーアプリでも使えるようになると約束した。そして1年後、指紋の安全性を維持しながらも、ついにそれが可能になる。
Appleはそのデジタルの指先を、ユーザーの家庭と心臓という非常に個人的な2つの分野に伸ばそうとしている。「HomeKit」(開発者向けツールパックの名称)によって、AppleはOS全体をホームオートメーション分野に進出させ、iOSデバイスのユーザーが自宅のサーモスタットやアラーム、ガレージのドア、照明といった要素をコントロールできるようにすることを目指している。「Siri」と接続するということは、「寝る準備をして」というコマンドを声に出せば、接続されたあらゆるデバイスを動かして、家の鍵をかけ、サーモスタットを調節し、照明を夜間用に暗くすることが可能ということだ。
「HealthKit」と付随する「Health」アプリは、デジタルヘルスをモバイル開発の次のフロンティアと見なすという点において、サムスンと方向性を同じくしており、ユーザーの健康に関するあらゆる情報を一元化することで、ユーザーのバイタルサインを追跡する。HealthKitはサードパーティーアプリとも連携する。たとえば、緊急時にMayo Clinicに通知して担当医に連絡するアプリなどだ。さらには、Jawbone UPやFitBitのようなサードパーティー製ハードウェアとも連携する。
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