グーグルの自動運転車試乗レポート--2020年までの実用化を目指す「賢い」車 - (page 4)

Seth Rosenblatt (CNET News) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子2014年05月27日 07時30分

ここからどこに向かって行くのか?

 さまざまな用途が考えられる。高齢者や障がい者、あるいは一時的な障害を抱えている人であっても、この自動車によって現在よりも自立した生活が営めるようになるはずだ。しばしば「中途半端な距離」という表現で語られる、郊外に住む人々が公共交通機関のハブとの間を行き来するうえでの問題は自律運転車によって軽減されるのである。

 また、他の車のように内燃機関を搭載していない「Tesla Model S」がその空きスペースに「フランク」と呼ばれる前部トランクを用意したように、自動運転車の普及によって、運転手を中心に据えた自動車の設計が根本から見直されることになったり、地球上の50%以上の人々が都市に住む日が近づいてくるとともに都市開発の方法が変わっていくことになるだろう。

これが未来の自動車の顔となるのだろうか?
これが未来の自動車の顔となるのだろうか?
提供:Seth Rosenblatt/CNET

 しかしGoogleの他の遠大なプロジェクトと同様に、技術的な解決策を見つけ出すだけで話は終わらない。自動運転車の実現によって、Googleのチームが取り組んでいない疑問が持ち上がってくる。

 自動運転車の保険はどうなるのだろうか?ロボット自動車が事故を起こした場合、支払い責任は誰が負うのだろうか?自動車事故による死亡者数が90%減少した場合、どういったことが起こるのだろうか?国内における自動車の走行距離が10年前に年間3兆マイル(約4.8兆km)というピークを迎えた後、下落傾向が見られる米国にとって、自動運転車の実現は遅すぎるのだろうか?自動運転車をハッキングから守るにはどうすればよいのだろうか?Googleおよび、その自動運転車の競合他社が取得することになる乗員のデータには、何が起こるのだろうか?

 少なくとも最後の2つの疑問については、Googleのチームが具体的に答えてくれた。

 Urmson氏はGoogleの「Google Chrome」ブラウザにおけるコンピュータセキュリティの成果と、先進の暗号化技術を引き合いに出し、「Googleについて言えるのは、われわれがセキュリティ分野において驚くほどのリソースを有しているということだ」と述べた。そして同氏は「われわれはその経験を(この自動車に)生かしていく」と語った。

 Chatham氏は「(車内には)大きな赤いボタンがある」と述べたうえで「(しかし)セキュリティに銀の弾丸はない。われわれは、幾重にもおよぶアプローチを採っている」と述べた。このアプローチは、彼らが言うには、ハッカーが自動車に対してアクセスできたとしても、追加のセキュリティ対策によって「今すぐ左折せよ」といった命令が実行されてしまうのを防げるということを意味している。

 彼らは、そういった対策がどのようなものなのかという点については具体的な回答を避けた。では、ユーザーに対するあらゆる情報をデータに変換するというGoogleのあくなき姿勢についてはどうだろうか?

 Chatham氏は「現在のところ、そうしたデータを誰とも共有する予定はない」と述べた。

 Urmson氏は「今のところ、そういったデータは自動車を改善するためだけに用いられている」と述べ、その後「われわれは顧客のデータすべてについて注意深くありたいと思っている」と付け加えた。

 自動車のロボット化が大きく進むという恐れは、先週末に放映されたコメディ番組「Silicon Valley」のエピソードで滑稽に描写されていた。そこではGoogleの自動運転車ともとれる自動運転車の目的地として5000マイル(約8000km)離れた無人島がセットされた結果、港に置かれた輸送用コンテナに入っていくというシーンが展開されていた。

 しかし現実は、あなたが考えるよりも早く、こういった自動車が実現されるはずだ。Volvoは、2017年に向けてスウェーデンのヨーテボリ周辺35マイル(約56km)を走行する自律自動車の実現に向けたシステムを構築中であると同地で発表したばかりだ。一方、Googleは2017年から2020年の間に実現するとしている。なお、Urmson氏にはその期日を前倒しにする特別な動機がある。

 Urmson氏によると、ティーンエイジャーたちの運転はむちゃくちゃであり、統計データにもそれが表れているという。

 同氏は「私には10歳の息子がいるため、これを6年で完成させなければならないのだ」と述べた。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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