グーグルの自動運転車試乗レポート--2020年までの実用化を目指す「賢い」車 - (page 3)

Seth Rosenblatt (CNET News) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子2014年05月27日 07時30分
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遠くにある目標

 自動運転車の完璧な左折を車内から眺めながら、ドライバーであるGoogleのRyan Espinoza氏は道路を注視していた。ただ、同氏の両手は膝の上に置かれていた。筆者が車内で目にした最初の大きな試験がこれであった。自動運転車がやるべきことは分かっていたものの、近づいてくる車や車線の幅、カーブをスムーズに曲がりきれるだけの加速能力といった多くのことがらに気を配る必要があり、そういった運転操作の完了を眺めているだけで印象深いものがあった。

 このシステムはとても先進的であり、Urmson氏によると他の自動車の死角に入らないような位置関係を保つことすら可能であるという。これは、ほとんどの人間のドライバーにはまねのできない驚くべき芸当であるが、同氏はこの車はまだまだ調整を必要としているとも語った。

 そのことは、筆者がLexus RX450hの後部座席に他の2人のレポーターに挟まれるかたちで座った時から明白であった。自動車前部の革張りのシートには、路上を走行するGoogleの自動運転車すべてに乗車することになっている、Googleのドライバーと「補助ドライバー」のチームが座っていたのだ。

システムは、センサ群に直結したノートPCで監視されるようになっている。
システムは、センサ群に直結したノートPCで監視されるようになっている。
提供:Seth Rosenblatt/CNET

 ドライビングチームはGoogleが保有する20台以上にも及ぶ自動運転車に毎日8時間近く乗車している。筆者が試乗したLexusのSUVハイブリッドはRX 450hの比較的新しいモデルであり、Lexusのウェブサイトによると燃費は1ガロンあたり30マイル(リッターあたり約12.75km)という、このクラス最高の性能を誇っている。マウンテンビュー近辺の平均ガソリン価格は1ガロンあたり4.2ドルとなっているため、一時停止時間を考慮した実際の運転時間を6時間と見積もり、平均時速を時速30マイル(時速約48.3km)と仮定した場合、Googleは自動運転車部隊のガソリン代として1日あたり600ドル(6万円強)を週5日間支払っていることになる。

 ドライバーと補助ドライバーには2つの仕事が与えられている。最初の仕事は大方の予想通り、緊急事態が発生した際に自動車の制御を引き継ぐというものだ。また、シフトレバーの右隣には、直径2インチ(5.08cm)ほどの赤いボタンが装備されており、非常時にこのボタンを押すと即座に自律制御が無効化されるという。とは言うものの、筆者が試乗した車のドライバーであるEspinoza氏と補助ドライバーであるNick Van Derpool氏は、そのボタン自体をテストした時以外では、ボタンを押さなければならなかった記憶はないと述べていた。

 2つめの仕事は、自動車の成長ぶりを記録するというものだ。ドライバーは運転席に座っているとはいえ、コンピュータから運転を引き継ぐ必要が発生しない限り、手足は待機状態にある。一方、補助ドライバーはノートPCを持って乗車している。このPCには、屋根に装備されているLIDARによって認識された周囲の状況がリアルタイムでワイヤフレーム表示されるようになっている。補助ドライバーはうまく行えた運転操作と、自動車の運転操作を改善する余地のある道路状況の双方を記録していく。こういった情報はその後、接続速度のさほど速くないモバイル接続でデータベースに登録され、すべての自動運転車が道路状況をうまく取り扱えるようにするために役立てられる。

 つまり、この自動車がどれだけうまく運転できたとしても、あとどの程度運転操作を向上させる必要があるのかを指摘するのは人間の仕事なのだ。筆者が試乗した車は、突然目の前に割り込んできたMini Cooperの進路を予測できるようになるまで、その後方で4台分の車間距離を保ち続けるということを理解していたものの、コンピュータ歴史博物館の駐車場を出発し、ラ・アベニダ通りに出るまではEspinoza氏が運転していた。通りまで出た時点で同氏は自律制御を起動していたが、自力で道路に出られない自動運転車なんて誰も欲しがらないだろう。

 Googleの自動車が克服できていないもう1つの問題が天候である。Urmson氏は、この自動車が豪雨や霧のなかでも人間と同様に運転できるが、高速道路を走行中の雨に対してはまだ問題があると述べた。また、チームは雪の中での走行テストも実施していない。安全運転に向けたハードルの高さを考えた場合、人間のドライバーと同じくらいの質のシステムでは不十分なのだ。

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