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「広告をニュースにして企業と生活者をつなぐ」--新会社NEWSYが目指す新境地

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 博報堂DYホールディングス傘下のAD plus VENTUREは5月1日、リサーチ会社ゲインと共同で、クリエイティブエージェンシーの新会社「NEWSY(ニュージー)」を設立した。「ニュースをつくるクリエイティブエージェンシー」を標榜している同社は、広告クリエイティブ制作のノウハウとニュースサイトの運営ノウハウを融合し、新たな形の広告会社を生み出すことを目指しているという。

 5月10日からは、同社クライアントとして第1弾案件となるスマートフォン向けフリマアプリ「メルカリ」のテレビCMを放映開始。そこで、NEWSYはクライアントとどのようなシナジーを生み出し、そしてどのような広告会社を目指そうとしているのかについて、NEWSY代表取締役CCO クリエイティブディレクターのタカハシマコト氏と、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏にお話を伺った。

膨大な広告実績を分析し“ニュースになる企画”を模索

--「メルカリ」のテレビCMを展開するにあたり、NEWSYに求めたものは?

  • NEWSY代表取締役CCO クリエイティブディレクターのタカハシマコト氏(左)と、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏(右)

山田:アプリゲームがテレビを活用して効果的にユーザーを拡大させている点を踏まえて、全国規模での幅広いリーチをサービス認知の拡大やユーザーの獲得につなげようと、CM出稿を決めました。最近はスマートフォンを片手にテレビを観ている人が増加しているので、テレビCMとスマホ向けサービスの親和性は高まっていると思うのです。

 ただ、広告出稿に対するKPIの変化は厳しく見たいと思っていたので、インターネット広告との比較で、予算に対してどれだけユーザー獲得や利用促進に対するインパクトがあるのかを定量的に分析して提案してもらいたいと思っていました。最初に「こんな広告を打ちたい」というリクエストは特になく、分析の結果を踏まえた有効なクリエイティブを考えて欲しいという意識が強かったですね。

--では、こうしたリクエストに対してどのようなプランニングをしたのでしょう。

タカハシ:最近、テレビCMからユーザー獲得に結び付けたいという要望は増加していますが、今回のプランニングにあたっては、過去のスマホアプリCM出稿事例をベンチマークにしながら、テレビCMの視聴からユーザーがアプリをダウンロードするまでの道筋を徹底的に研究しました。数多くのCMを検証すると、効果があった要因だけではなく、ネガティブに働いた要因も見えてくるので、そのようなリスク要素は徹底的に排除して、成功要因をできるだけ企画に盛り込もうとしたのです。クリエイティブ案は10以上ご提案し、検討していただきましたね。

 これに加えて、ニュースになりそうな=ソーシャルメディアで話題になり拡散しそうな要素は、必ず盛り込もうと思いました。具体的には、テレビCMのシナリオとキャスティングを工夫して、CMのターゲットである若い女性が話題にしたくなるようなコンテンツを作ろうとしたのです。そこで、モノの売り買いというフリマアプリの特徴をただ語るのではなく、若い人にとってのヒトとモノの関わりを“出会いと別れ”というシチュエーションで再定義しました。

 そして、そのドラマを表現する出演者には人気番組「テラスハウス」の出演者をキャスティングすることで、短い時間の中で出会いと別れがあるという「テラスハウス」の世界観に、モノとの出会いと別れに役立つ「メルカリ」の特徴を重ね合わせたかったのです。


5月10日に放送が始まった「メルカリ」のテレビCM

--放送開始後の反響は?

  • メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏

山田:開始直後なのでユーザー獲得へのインパクトは今後見ていく必要がありますが、Twitterにおいて好意的な意見で話題になったり、YouTubeに公開したCM動画が初日に再生回数10万回を超えたりするなど、反響は大きいです。放送前には出演者の話題性などから、フジテレビの「めざましテレビ」でも大きく取り上げられました。今後はこうしたCMへの関心がアプリへの関心へと移り、ユーザーが拡大していけば嬉しいですね。

タカハシ:「テラスハウス」のことはCMの中でまったく語っていないのですが、ファンにとってこの出演者とシナリオは、まるでスピンオフを観ているような感覚ではないでしょうか。臨場感を出すためにBGMは入れず、男女のやりとりに注目してもらうという点も工夫しました。YouTubeの再生回数は想定以上で、キャスティングの話題性とストーリーの面白さで「続きを見たくなる」と思わせることができたのではと思います。

 過去の実績を分析すると、テレビCMを成功させたスマートフォンアプリは放送前と放送後で1日あたりのダウンロード平均数が大きく上がります。テレビCMを通じてターゲット層のニーズを理解しているサービスとして認知が広がり、出稿以上の効果を出すことができれば嬉しいですね。

広告を話題になるコンテンツにして生活者を味方に

--「ニュースメディア」「広告クリエイティブ」を作る共通点は?

  • NEWSY代表取締役CCO クリエイティブディレクターのタカハシマコト氏

タカハシ:NEWSYでは、メルカリのCM制作のようなクリエイティブエージェンシーとしての事業と、ニュースメディア運営事業と、異なる2つの柱を持っています。また、その編集ノウハウを活かして、クライアントの企業サイトなどオウンドメディアにも情報コンテンツを提供しています。

 スマートフォンやニュースアプリの登場などによって「ニュース」の本質は変わってきていると思ってます。いま求められるのは、ちょっとしたスキマ時間に手軽に楽しめて友人とシェアして話題にできるネタだと感じています。作り手が少し視点を変えて発信するだけであらゆる話題がネタになり、それがニュースとして拡散する時代です。

 実は広告も、クライアントの商品やサービスについて“視点”を探す作業であり、広告作りに携わる人間はこの視点探しのトレーニングを日々しています。視聴者が思わずシェアしたくなるような“視点”を盛り込むという意味では、広告を作る作業とニュースを作る作業は共通点があると思うのです。

 広告をクライアントからの一方通行にするのではなく、コンテンツマーケティングの視点で視聴者やユーザーと盛り上がれるコミュニケーション施策を考えていきたいですね。企業と、ネタを欲している生活者とを繋ぐ役目を果たしたいと思います。

--6月に開始するニュースサイト「しらべぇ」ではどのような展開を考えていますか。

タカハシ:調査ニュースサイト「しらべぇ」では、日常生活のささいなことでも独特の視点や切り口で取り上げることで、ソーシャルメディアで共有したくなるネタコンテンツを追求していきます。日本人はトレンドを知ったり、他人の意見を参考にしたりしたいからか、データやランキングが入った記事を好む傾向があります。今までにない視点で調査テーマを考え、おもしろいニュースを生み出していければいいですね。他のメディアではあまりやらない、ライターやコラムニストが自分で試してみたり、独自に調査をしたりして記事を作る「やってみた」「調べてみた」といったコンテンツも展開して、視聴者に楽しんでいただければと思っています。

--NEWSYは今後どのようなコミュニケーションデザインを目指しますか。

タカハシ:一番大切にしたいのは、話題にしてくれた視聴者やユーザーの力を借りて、プロモーションにかけたコスト以上の効果をもたらしたいということです。たしかに、企業が持つブランドメッセージを厳格に表現したリッチな広告にもパワーはあります。しかし、広告主やクリエイターの自己満足が見え隠れするCMやキャッチフレーズは、視聴者に“ポエムっぽい”と切り捨てられてしまうような世の中です。ソーシャルメディアでシェアしたくなるようなネタ=ニュースを生み出すことを意識して、視聴者を味方につけることができれば、広告は強さを取り戻せるのではないでしょうか。

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