こういったモットーの変更はささいなものであるが、Facebookの成熟化を示す表れと言えるだろう。間もなく30歳の誕生日を迎えるZuckerberg氏の下で、同社の成熟度がこれまでで最も高くなっているのは間違いないだろう。他の役員らによる一連の発表の後、同氏は再びマイクを握り、残った時間で個人的な話をし、10年前の妻との出会いについても言及した。
そして同氏は「あなた方が人々の生活に寄り添えるようになる手助けがしたい」と述べ、新しいモバイル広告ツールである「Facebook Audience Network」が唯一の製品発表だと思える以外、あまり目玉の無かったF8カンファレンスを締めくくった。
モットーの変更は、FacebookとZuckerberg氏が成長し、より真剣になってきていることを示している。
ソフトウェア調査会社IDCのプログラムディレクターであるAl Hilwa氏は「これは同社が創業10周年をめどにして真剣に自らを見つめ直した表れだと考えている。自社の開発者エコシステムに向かう姿勢に、明らかに成熟した雰囲気がある」と述べた。
しかし、今では12億8000万人のユーザーを抱え、モバイル分野を収益の柱としているFacebookにとってこのシフトは、成長とユーザビリティを同社に依存している開発者らに対する扱いの変化をも意味している。同社が2013年に買収したParseは25万件ものアプリを支える強力な開発者向けツールとなっており、「Facebook Connect」、そして「Facebook Login」はアプリのユーザーベースを増やす主流の方法となり、同社は大事にしなければならないさまざまな規模のパートナーを数多く抱えているのである。
Zuckerberg氏はF8カンファレンスの開催前に、WiredのSteven Levy氏からモットーの変更に関して尋ねられた際、「構築するものが10回も直さなくてもよいのであれば、それを土台に前進できるためだ。人々がすべてのモバイルプラットフォーム上であらゆるアプリを構築するための重要なインフラとして、信頼してもらえるようにするための、本当の変化なのだ」と述べた。
Facebookのプラットフォームを開発者の頭の中で最優先事項としてとどめておくうえで、安定したインフラが同社にとって不可欠となっている。また同社は、開発者が最適なパフォーマンスを容易に達成できるよう、Appleの「iOS」やGoogleの「Android」といったモバイルOS間のギャップを埋めるための橋渡しをしたいと考えており、こういったインフラはそのためにも不可欠となっている。
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