Facebookの最高経営責任者(CEO)を務めるMark Zuckerberg氏はここ数年でずいぶん大人になったが、ソーシャルメデイア大手である同社のプラットフォームも同じように成熟の途上にある。Facebookのインフラストラクチャが開発者にとって欠かせないものであり、同社にはエンタープライズクラスへの対応が必要だという点を、Zuckerberg氏も認識している。
こうした認識のもと、同社はサービスレベル合意書を締結し、最新版以外のアプリケーションプログラミングインターフェース(API)もサポートして安定性を高め、モバイルプラットフォームについても強化するという。
Zuckerberg氏によれば、Facebookの技術者たちが初期に掲げていたスローガンは、「Move fast and break things(すばやく動け、そして物事をぶち壊せ)」というものだったという。だが、これはうまくいかなかった。この結果Facebookは多くの時間をバグの修正に費やすことになり、開発の遅延につながってしまったからだ。
こうして生まれた新たなアプローチは、「Move fast with stable infra(安定したインフラですばやく動け)」というものになった。
実際、選択の余地はそう多くはない。Facebookは米国時間4月30日にモバイル広告ネットワークを立ち上げたばかりだ。これは、アプリのエンゲージメントを高めると同時に権限を拡大できるような機能を備えている。さらに、他の開発者の意欲を促す施策も開始した。
Zuckerberg氏は、安定したインフラストラクチャというテーマがそれほど魅力的ではないことを認めながらも、「我々はサービスを提供しているすべての人に向けてより優れた体験を構築しており、それが今の我々の運営方針だ」と語っている。
このようなアプローチを取っていることからいって、Facebookは、自らがエンタープライズクラスの広告およびソーシャルプラットフォームであることを自覚しているようだ。いつまでもベータ版のままでは受け入れてもらえない。企業がアプローチを進化させていくのを見るのは楽しいことだ。Red Hatが新しいコードを拙速にリリースすることはない。多くのエンタープライズベンダーは古いバージョンをしばらくの間サポートするが、これは大企業が安定性を必要としているという理由からだ。
Facebookはさらに、古いAPIをサポートするという流れにも乗り、変更があってもサポートが継続されるという、2年間の安定動作保証の提供を始めた。また、今後はすべてのAPIにバージョン番号を付与し、開発者が選択できるようにするという。
サービスレベル合意書について、Facebookは、開発者のためにすべての重大なバグを48時間以内に修正することを約束している。
Zuckerberg氏からのメッセージは、同社は安定的なモバイルプラットフォームを構築し、強化し続ける、というものだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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