各社の紹介が終わったところで、モデレータの國領氏は「インターネットコンテンツ事業を運営するにはさまざまな障壁があるが」と質問した。
KKBOXのChris氏は、「きれいな水を思い浮かべてほしい」と切り出した。ある地域ではきれいな水を簡単には得られないため貴重な資源になっているが、「これは日本の音楽レーベルのやり方と同じなのではないか」と主張する。大事なコンテンツだから安価に売りたくないという思いや、入手しやすくなることに対する恐怖みたいなものが日本の企業にあるのではないか、と推測した。
欧米ではAppleを筆頭に、「Spotify」「Netflix」といった音楽、動画の有料配信モデルが確立しているものの、日本は従来のプラスチックメディア(CD)の巨大な売り上げがあるせいか「少し遅れている」とコメント。より多くの人にアクセスしやすいよう提供すれば、日本のエンターテイメントコンテンツは本当に楽しめるようになるはず、とした。
John Donham氏は、TuneInにおいて、ユーザーの言語や地域に合わせた内容の広告を配信する仕組みをスタートし、世界中のラジオ局にとってビジネスチャンスが生まれていると話した。ただし、「地理的な障壁がなくなって初めてそのチャンスを活かせる」と釘を刺す。ところが、ネットのみで配信するラジオ局であれば、そういった地理的な障壁は少ない。設備費もそれほどかからず小さなコストで運営できるとし、実際にそういった例もいくつか出てきているという。その中で同社には「モニタリゼーションをどのようにクリエイターに提供するかが求められている」とも語った。
「いま一番問題なのは意識の持ち方だ」としたのはVikiのRazmig Hovaghimian氏だ。Vikiではさまざまな国の映画コンテンツなどを配信しているが、有名なハリウッド映画ではなく、いわゆる“Bollywood”と呼ばれるインド映画や、韓国、日本のコンテンツが多くを占めている。さまざまな国の動画コンテンツがすでに世界中を巡っており、地理的な障壁は打ち破れる状況にあると考えているようだ。
しかし、やはり日本の事情は特殊であり、動画コンテンツの配信契約を結ぶ際、たとえば韓国では1時間の交渉でまとまるのに対し、日本は許諾を得るのに何カ月もかかることがあるという。
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