次にTuneInのCEOであるJohn Donham(ジョン・ドンハム)氏が自社のインターネットラジオサービスについて解説した。同氏は、「地球上の90%の人が毎週ラジオを聞いている。これは80%とされる識字率より多い」としつつ、「このようなマス市場であるラジオのオンライン化がなぜ遅れているのか」と疑問を投げかけた。
TuneInでは、現在世界中にある10万ものラジオ放送を配信しており、その中には各国の著名なニュース番組、スポーツ情報番組、あるいは音楽番組なども含まれているが、それら番組のカテゴリーに関わらず「国境を越えたい」と語る同氏。
東日本大震災発生時には米国にいる日本人がTuneInで情報収集でき、その後多くの感謝メールも受け取ったとも話したが、常により多くのユーザーにオンラインでラジオを届けるため、それを阻んでいる「地域ごとの障壁を撤廃しなければならない」と強調する。例えば、多くの国では国外配信に関する制約はあるものの、日本は国内の都道府県ごとにさえ制約があるという問題点を指摘した。
続いてKKBOXのCEO Chris Lin(クリス・リン)氏がマイクを握った。KKBOXはアジアを中心とした7地域で音楽コンテンツを配信しているストリーミングサービスだ。500レーベルの1000万曲を定額で楽しめる仕組みになっており、1000万の登録ユーザーと200万の月額課金ユーザーを抱えている。
同社のビジョンは「人々に音楽を聴いてもらうこと、ただし孤独にではなく、ストリーミングを通じて一体感というものを与えたい」というもの。KKBOXでは、曲を再生した後、簡単な操作で他のユーザーに自分がどんな曲を聴いているのかをシェアでき、一緒に同じ曲を聴くこともできる。自分だけでなく他の多くのユーザーに「音楽の共有体験を無限に広げる」のが目的だ。
その一方で、アーティストもKKBOXを利用しているという。自身の曲を宣伝するだけでなく、中国で最も人気のあるロックバンドグループにおいては、1万2000人のファンがバンドメンバーとチャットできるようにもしており、「(中国で蔓延している)海賊版と差別化を図る方法の1つとして、ユーザーと音楽やアーティストを近づけるためのエコシステムを作り上げている」としている。
さらに、年間50億ストリームもの再生規模をバックグラウンドに、ユーザーが何をどこで聞き、どんなアーティストが好きかといったビッグデータも保有しているとアピール。これにより、同社はいくつかの国・地域で、コンサートを興業する最大手のプロモーターとしても活動しているとのことだ。
最後に、タイで電子書籍配信を行っているOOKBEEのCEO Natavudh P. Moo(ナタヴッド・P・ムー)氏。同社のサービスは現在6億人が利用しており、タイの電子書籍市場の90%を独占している。iTunes Storeでは700日間トップに居続け、ゲームカテゴリーにおけるEAやDeNAなどのアプリよりもタイではユーザー規模が大きく、さらにはFacebookの次に人気のあるサービスだと話した。
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