国内外のテクノロジ界のイノベーターを集めたカンファレンス「新経済サミット2014」が、4月9日から2日間の日程で開催された。2日目となる4月10日には「シリコンバレーの日本人」と題するパネルディスカッションが行われた。タイトルの通り、モデレーターをつとめたWiLの伊佐山元氏をはじめ、エバーノート日本法人会長の外村仁氏、ソースネクスト代表取締役社長の松田憲幸氏、WHILL CEOの杉江理氏、Treasure Data CEOの芳川裕誠氏の登壇者5人は、日本を飛び出しシリコンバレーに拠点を移している。シリコンバレーと日本の違いや、現地で仕事をするメリット、デメリットなどが率直に語られた。
現在はシリコンバレーに住み、会社を経営する4人のパネラーだが、日本を飛び出してシリコンバレーで暮らすことになった理由はそれぞれ異なる。
ソースネクストの松田氏は、「最初は短期出張で行っていたが、それではミーティングがなかなか進まない。1週間、1カ月と滞在する時間を長くすると、会いたい人と会いやすくなる」という体験から、シリコンバレーに拠点を置くことを決意した。その際、拠点を束ねる人材が問題となるが、「誰をトップに据えるかで悩んだ。通常は日本法人にいる英語ができて、優秀な人材を送るのがセオリーだが、それではグローバル企業になるという目標を達成できない。目標を達成するために、私自身がシリコンバレーに行く決断をした。幸い、私がいなくなった後の日本法人も好調な事業を続けている」とグローバル企業への転換を実現するために、社長自らシリコンバレーに乗り込んだと説明した。
エバーノートの外村氏は、「アップルに5年在籍した後、休暇中に欧州まで来て、結局2年くらい現地に滞在した。滞在中に古い友人から、会社を作ったけれど来ないかと誘われたのがきっかけ」と、目的を持ってシリコンバレーで暮らすようになったわけではないと話す。外村氏によれば「昔からいる人も、実は目的を持ってシリコンバレーに来た人ばかりではない」という。
モデレーターの伊佐山氏に「誘われて訪れたシリコンバレーに滞在し続ける理由は」と訊ねられた外村氏は、「日本にいると本来の業務以外のことに使わなければいけないエネルギーが多いし、シリコンバレーには非常にワクワクする人が多い」と語った。
もともと日産デザインセンターに在籍し、その後、中国で日本語教師をした経験もあるWHILLの杉江氏は、「シンプルな答えだが、米国は電動車いすのユーザーが多い。電動車いすは日産時代にモーターショーで発表したのだが、その時も米国からの反応が一番良かった。シリコンバレーはアーリーアダプターが多く、感想や意見をインタビューしやすい。その結果、製品に反映しやすくなるという良いサイクルが出来上がる」と電動車いす事業を展開するにあたり、プラス効果が大きいことを挙げる。
Treasure Dataの芳川氏は、米レッドハットから三井物産に転身し、プライベートエクイティ事業部に所属して駐在員としてシリコンバレーに住んでいた。シリコンバレーで起業したのも、「生活基盤がシリコンバレーにあったので、そこで起業するのは自然なことだった。駐在員時代から、エンタープライズソフトを担当していたが、出会った人に考えをぶつけ合うと、現在手掛けているビッグデータ用ソフトは大きなビジネスチャンスを迎える時期で、人生でこんなチャンスは二度とないと考え、起業を決断した」と話す。
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