日本では当たり前なことも、シリコンバレーでは全く状況が異なる。杉江氏はオンラインでコミュニケーションをする中、日本の常識とは全く逆の体験をした。
「誰か資金調達してくれる人はいないか?と書き込んだら、すぐに返事がきた。何回かやり取りをしている最中にトイレに行って3分くらい時間をあけてしまったら、返事がこなくなってしまった。しかし、相手を逃してはいけないと思って必死に追いかけたら、ようやく返事がくるようになった」(杉江氏)。
後から分かったのだが、相手は忙しい中、偶然、杉江氏の書き込みを目にした。相手には時間がなく、まさにその時に掴まえなければ、縁がなくなる相手だったのだ。
この体験から杉江氏は、「シリコンバレーでのメールのやり取りはチャット感覚。挨拶から始まる日本のメールとは文章の作り方が全く異なる。シリコンバレーのメールには本文しか書かず、しかも重要な案件をやり取りする場合にはPCの前から離れてはいけない」と考えるようになったのだそうだ。
モデレーターの伊佐山氏も、「ベンチャーキャピタリストをはじめ、シリコンバレーでビジネスをする人は意思決定が速い。それは皆忙しいので、迅速な意思決定をせざるを得ないから。挨拶文を最初に書いて、用件は会った時にという日本次式メールは相手にされない。挨拶なしに、やりたいことを端的に書いたメールを求める」と、日本人の感覚でメールを書いてはいけないとアドバイスした。
芳川氏は人材流動性が日本とは全く違うことを痛感しているという。「会社はステージによって必要な人材が異なる。たとえば同じ販売責任者といっても、売り上げを1億円から10億円にする時に必要なスキルや知識と、10億円を100億円にする時とでは全く異なる。シリコンバレーは、その時に必要な人材が集められるという点が全く異なる」。
CEOとして働く人の中には、「このステージになると、自分の能力とは合わないから辞めると自分で言い出す人もいる。自ら、このステージであれば、こんな人がいいのではないかと他の人を推薦するケースもある」という。自分の能力を正確に把握し、ステージごとに働く場所があるからこそ実現している社会といえる。
長い間、シリコンバレーで暮らす外村氏は、現地で日本人ネットワークを作ろうと奔走した時期もあったそうだがなかなか変化はなく、「最近では高校生、中学生の若い世代に期待している。先週はアップルが好きという理由だけでシリコンバレーにやってきた高校生もいた。若い世代は、シリコンバレーにくると半年、1年で大きく変わる。その成長ぶりを見ていると、達成感がある。今回会場にお越しの方には、ぜひ若い人をどんどんシリコンバレーに寄こして欲しい」とアピールした。
また外村氏は、日本で成功してからシリコンバレーに移住した松田氏も例に挙げ、「松田さんは、これまでなかった大変いい例。パッションがあって、どうしてもやりたいとはっきり主張できる人。シリコンバレーには、そういう人は向いているし、新しいチャレンジが楽しいというメンタリティを持ち、考える前にアクションすることをオススメしたい」と行動してみることを勧めた。
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