シリコンバレーが素晴らしい場所であることは伝わってくるが、逆に現地でビジネスをする上で困ったことはないのだろうか。
WHILLの杉江氏は「求人の時には注意が必要。日本人とは異なり、応募してくる全員が『自分は君の会社にピッタリで、最高の人材だ!』とアピールしてくる。一番酷かったのは、自分はスティーブ・ジョブズと知り合いで、こんな仕事をしてきたとアピールしてきたが、実はインドのクリケット選手という半分詐欺まがいのアピールをしてきた人物」と、求人が最大の悩みの種だと話す。
杉江氏の会社は電動車いす、つまりハードウェアを開発する企業であるため、「ソフトウェアやネットサービスとは異なり、実績が出るまでに時間がかかることもあって、会社のミッションに共感を持ってくれないと一緒に働くことができない。アピールしてきたプロフィールの裏をとること、1カ月間試験期間として一緒に働いてもらうことにしている」と日本での求人にはない苦労が必要だという。
このプロフィールの裏取りは、「シリコンバレーで人を雇う時には必須」だとモデレーターの伊佐山氏も賛同の声をあげた。杉江氏の会社に来た詐欺まがいの略歴で応募してきた人物も、知人からの紹介だったため、紹介されたから安心というわけではないという、日本では考えにくい状況だったそうだ。
Treasure Dataの芳川氏は、「考え込んでしまったこともあったが、実際に会社が始まってからはとにかくやるしかない。杞憂はあったが、あまり困ったと感じることはない」と話した。
他の参加者に比べシリコンバレーに住んでからの時間が長い外村氏へ、モデレーターの伊佐山氏が「アジア各国からシリコンバレーに移り住んでいる人の数に比べ、日本人が少ない理由はどこにあるのか」と質問した。これに対し外村氏は、「先回り慎重症候群みたいになってしまっている。考えすぎて最初の一歩が踏み出せなくなっている」と指摘。芳川氏の「始める前に考え込んでしまった」という状態のまま、踏み出せない日本人が多いようだ。
伊佐山氏が「他のアジア諸国に比べて、日本人は悩んで状況分析をきちんとして、その結果、動けなくなってしまうのは何故なのか」と問いかけた。この質問に外村氏は「40代くらいまでの人を見ていると、答えがあってそこに行き着くための教育になっている。失敗してもいいというトライ&エラーは教育の場でされていない。その結果、成功すればするほど、シリコンバレーに行きにくくなるメンタリティが染みこんでしまうのではないか」と指摘した。慎重で、失敗を恐れる教育が日本人の行動にも大きく影響しているのではないかという見方だ。
なお、伊佐山氏によれば、シリコンバレーで成功した人のタイプは、(1)メガロマニア、(2)パラノイア、(3)グローバル、(4)ヒューメインのいずれか、もしくは4タイプのいくつかを兼ねたタイプが多いという。
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