「新経済と新産業のグローバルカンファレンス」と銘打たれた「新経済サミット2014」が、4月9日から2日間の日程で開催されている。
今回で2回目となる同サミットには、米Oracleの最高経営責任者(CEO)のLarry Ellison氏や、米Yahooの共同設立者で現在は米国AME Cloud VenturesのCEOを務めるJerry Yang氏をはじめ、LINE代表取締役社長の森川亮氏、グリー代表取締役社長の田中良和氏など、30人超のICT界のイノベーターが集結する。
4月9日の開会挨拶には、新経済連盟代表理事を務める楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏が登壇し、新経済連盟の取り組みなどを紹介した。
新経済連盟は、「イノベーション」「アントレプレナーシップ(起業精神)」「グローバリゼーション」の3つを日本経済、社会の復活と発展に向けたキーワードに掲げ、これらを推進、強化することを目標に設立された一般社団法人である。
三木谷氏は新経済連盟が「日本の都市部におけるインターネット接続料金を2020年までに無料にすること」や「国による勲章授与、報奨制度の設立」などを政府へ政策提言として掲げていることなど紹介。ICTインフラの充実と起業家支援が、日本経済の成長を牽引すると強調した。
続く来賓挨拶では、内閣総理大臣の安倍晋三氏が登壇。政府が掲げる新たな成長戦略の取り組みを改めて紹介した。
安倍氏は、「(政権交代してからの)1年間でデフレや経済の低迷から脱却し、日本は失っていたチャレンジ精神を取り戻しつつある。三木谷氏には(内閣が掲げる)成長戦略を強力にサポートしていただいている。今後もさらなる改革に取り組む」と語った。
政府は現在、イノベーションや新事業創出を「成長戦略の大きな柱」と位置づけている。安倍氏は、「今後も産業の新陳代謝を促すべく、開業率/廃業率を欧米並みの10%台とする」とその目標を掲げ、戦略特区などの取り組みを紹介。さらに法人税については「国際的にみて競争的なものにしなければならない」と語り、法人減税に取り組む姿勢を示した。
また、個人情報保護法の改正についても触れ、「IT利用を推進する規制改革として、ビッグデータに含まれるパーソナルデータの利用が進むよう、個人情報保護法の改正を行う」と明言。国民からの反対意見も多い法改正は、あくまでも情報利活用を目的としたものであることを強調した。
最後に安倍氏は「(政府は)頑張る人が報われる社会を構築する。その主役は起業家のチャレンジ精神だ。イノベーションを起こし、世界をリードする新産業が次々と誕生する国を作り上げていこう」と呼び掛けた。
次に登壇した元駐日米国大使のJohn V. Roos氏は「日本はアジアでもっとも重要な同盟国であり、(同盟国には)経済成長が不可欠」と、日米間の強固な関係を強調した上で「(私が)日本に着任した4年前には、周囲から“日本では起業家精神は育たない”と言われたが、それは間違いだ。戦後日本は著しい発展を遂げ、世界で最も革新的な国になった」と語った。
Roos氏が着任した当時は、日本ではライブドアの粉飾決済事件が社会的関心事になっており、起業家への風当たりが強かった時期だ。Roos氏は「4年間で日本の起業家を取り巻く環境は変化した。大企業を飛び出して起業する人も多くなった」と指摘。日本テレビ放送網を退職して起業したLINEの森川氏を例に挙げ、その功績を称えた。
また同氏は「起業家は失敗を恐れず再チャレンジする。シリコンバレーでは、3~4度目のチャレンジで成功する例が後を絶たない。(米Appleの創業者である)Steve Jobs氏も一度Appleを追われたが、再チャレンジで大成功を収めた」と語った。
最後に同氏は「シリコンバレーは日本に注目している。両者が得意分野で協業すれば、新しいサービス/イノベーションが創造できる。例えば、日本のコンビニエンスストアが持っているビッグデータを、シリコンバレーのベンチャー企業が開発した分析ツールで分析し、新たな価値を持つデータが創出されれば、そこからビジネスがスタートする。そうしたきっかけとなるのがこのイベントだ」と話した。
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