開発中とされるAmazonのスマートフォンには、世界最高峰のデバイス群と同等のオプション機能がすべて搭載されるかもしれない。しかし、大半のAmazon製品と同様に、価格をセールスポイントにせざるを得ないだろう。
Amazonがスマートフォンの世界に大きな影響を与えたいのなら(報道によれば、2014年秋に発売する準備ができているという)、過去にうまく成し遂げたことに賭けるべきだ。つまり、競合他社よりも安い価格で製品を提供する必要がある。確かに、3D機能や複数の前面カメラは魅力的な機能に思える。しかし、Appleの「iPhone」とサムスンの「GALAXY S」シリーズが支配する世界において、本当の意味で注目を集めるには、可能な限り価格を抑えたデバイスを出すしかない。
その理由について、Kantar WorldpanelのアナリストCarolina Milanesi氏は、消費者はAmazonブランドのスマートフォンをハイエンド機種とは見なさないからだと述べる。
「これが正しいやり方に違いない。価格を下げなければ、通信キャリアに依存する羽目になる」(Milanesi氏)
VerizonやAT&Tなどの通信キャリアは、顧客が2年契約を結んだ際に、販売奨励金による値引きを行ってスマートフォンを低価格で提供することが多いが、キャリアと連携することは、スマートフォンメーカーにとって数ある障害の1つにすぎない。Amazonの自社開発スマートフォンのうわさが最初に流れたときに米CNETが指摘したように、スマートフォン市場の競争は残酷なほど熾烈で、テクノロジ分野で成功を収めたAmazonのような大企業でも苦戦を強いられる。この点を指摘したのは約2年前のことだが、今も状況はそれほど変わっていない。
Gartnerによると、サムスンはスマートフォン市場で3分の1近くのシェアを占めており、Appleは15%のシェアを獲得しているという。ほかにも多くの企業がシェアをめぐって争っているが、実際に利益を上げている企業はほとんどない。BlackBerryは存続の危機に瀕しており、NokiaはMicrosoftによる買収がなければ生き残れない状況だ。以前は堅調だったHTCのようなスマートフォンメーカーまでもが失速している。
とはいえ、高品質で低価格なスマートフォンに関心が寄せられていることは間違いない。Motorolaの「Moto G」は、アンロックされた179ドルのデバイスに多数のハードウェアと機能が詰め込まれているとして高く評価された。Amazonはそれよりも優れた製品を開発できるだろうか。
Amazonは、デバイスからユーザーに自社サービスを利用してもらい、より多くの商品を購入してもらうためなら、ハードウェアで損失を出しても構わない、という姿勢を示してきた。デバイスを利用して、自社の動画ストリーミングサービスやアプリストア、ショッピングオプションを宣伝すれば、リピート顧客が増えるという考えだ。
Current AnalysisのアナリストであるAvi Greengart氏は、「Amazonは喜んで自動販売機を売っている。たとえ損失を出しても自動販売機を売るだろう」と述べ、Appleやサムスンと異なり、Amazonは実際のデバイスから利益を得ることに関心がない、と付け加えた。
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