うわさのアマゾン自社開発スマートフォン--熾烈な競争を勝ち抜くために必要なこと - (page 2)

Roger Cheng Donna Tam (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2014年04月17日 07時30分

 しかし、競争力を得るためには、相当価格を下げなければならない。Amazonは「Kindle Fire」タブレットで消費者の忠誠心を勝ち取ることに成功したが、スマートフォンでも同じことを成し遂げられる可能性は低い。この点では、おそらく、先ごろ発売された「Fire TV」にも及ばないだろう。Amazonは数字を公表していないが、Kindle Fireの200ドルという価格設定は大きな注目を集め、同社はFire TVデバイスが既に完売したと述べている。スマートフォン分野では、それよりもはるかに激しい競争が繰り広げられている。タブレットもモバイルデバイスではあるが、スマートフォンと同じように扱われるわけではなく、外出先でスマートフォンを使ってデータを消費したければ、通信キャリアとの契約が必要になる。キャリアが関わってくると、事態はより複雑になり、消費者が下さなければならない決断も多くなる。

 「タブレットが新しいカテゴリだったとき、ほとんどの人はWi-Fiのみのバージョンを購入していたため、キャリアが関わることはなかった。そのため、消費者が決断を下すのは極めて容易だった。『今契約している家族プランにどのように組み込まれるのか』ということを話し合う必要がなかったからだ」(Greengart氏)

 さらに、ほとんどの消費者はスマートフォンの実際の価格を今でも正確に把握しておらず、多くの場合、コストをあまりにも安く見積もりすぎている。長期サービス契約と引き換えに提供される通信キャリアの販売奨励金のおかげで、本来なら650ドルの「iPhone 5s」や「GALAXY S5」が200ドルで販売されている。そうした販売奨励金により、AT&Tは契約を結んだ顧客に対し、「GALAXY S4」のようなかなり高性能のスマートフォンも無料で提供している。

 したがって、Kindle Fireタブレットは、初代モデルが低価格で登場したときは人々を驚かせたかもしれないが、スマートフォンに関しては、この手法はそれほど効果を発揮しない可能性がある。スマートフォンは必ずと言っていいほど本来の価格よりも安く売られるからだ。

 Amazonのスマートフォンには3D画像処理技術が搭載されるとのうわさだが、この手法はスマートフォン業界が過去に試みたことがあり、大きな変化を起こす可能性は低い。Amazonのサイトに掲載されている商品をアピールする優れた手段という点では理にかなっているのだろうが、より強力なカメラ、より高速なプロセッサといったスペックの向上やデザインに消費者の関心が向けられている今、3Dのような機能は簡単に忘れ去られてしまうかもしれない。

 「HTC EVO 3D」とLGの「Thrill」は、3Dのディスプレイやカメラをスマートフォンに搭載しようとして失敗した2つの例である。現時点では、Amazonのテクノロジがそれらのスマートフォンより優れていることはほぼ間違いないが、それでも人々は懐疑的な反応を示すかもしれない。

 Amazonが本当に感銘を与えたいのなら、突飛なスマートフォン機能や誇大広告に頼るべきではない。Amazonの最高のお買い得品と呼ぶにふさわしいバーゲン品を手に入れようとしているのだと消費者を納得させなければならない。

 それがうまくいけば、スマートフォンユーザーはiPhoneシリーズを見送って、商品を2日以内に配送する「Prime」サービス付きのスマートフォンを選ぶかもしれない。

Amazonは販売台数を公表していないため、「Kindle Fire」シリーズがどれだけの成功を収めているのかは不明だ。
Amazonは販売台数を公表していないため、「Kindle Fire」シリーズがどれだけの成功を収めているのかは不明だ。
提供:Screenshot by CNET

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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