Facebookは最大23億ドルを投じてOculus VRを買収し、オンライン上のソーシャルなやり取りがあたかも実際のものであるかのように感じられる、別世界のような領域を創り出そうとしている。
Facebookは米国時間3月25日、仮想現実技術を手がける企業であり、Kickstarterでセンセーションを巻き起こしたOculusの買収計画を発表した。
買収契約が締結されれば、Facebookは創立18カ月のこの「Oculus Rift」メーカーに対して、現金4億ドルと株式2310万株を支払うほか、3億ドルのアーンアウトも実施する可能性がある。Oculus Riftはまだ開発中の仮想現実ヘッドセットだが、ソフトウェア開発キットは既に7万5000セットが注文されており、ゲーム開発者らからの賞賛も得ている。
驚きをもって受けとめられた今回の買収により、Facebookは仮想現実分野での強固な足場を築くことになる。Facebookの最高経営責任者(CEO)Mark Zuckerberg氏は、仮想現実が少なくともソーシャルネットワークに参加しているコンシューマーにとって、モバイルに続く新興の技術トレンドになると予測している。
Oculus VRのCEOであり、共同創業者でもあるBrendan Iribe氏は今回の買収計画に関する電話会見で、両社が未来をともに創り上げていくという野心的な計画を持っていると語っている。
Zuckerberg氏は同会見で「ゲームの後、われわれはOculusをその他多くのエクスペリエンスのためのプラットフォームにしていく」と述べるとともに、「自宅でゴーグルをかけるだけで、コート際の席で試合を観戦したり、世界各地の生徒や教師がいる教室で学習したり、医者と顔を合わせて診察を受けたり、興味のある製品に触って検討することが可能な仮想世界の店舗でショッピングをしたりすることを、想像してみてほしい」と語っている。
Zuckerberg氏は、Oculusの技術が「果てしない」冒険を可能にするため、今までになかった最もソーシャルなプラットフォームとなる可能性があるとして、最愛の人とのコミュニケーション方法を変えることになるだろうと述べている。
「誰かとのアイコンタクトを、一切の遅れを感じずに行えるといったちょっとしたことにより、実際に一緒にいるかのように感じられる」(Zuckerberg氏)
Oculusは実質的に、一般的なソーシャルネットワーキングやコンピューティングが10年後どうなるのかについて今後のビジョンをFacebookにもたらしている。そのビジョンの実体はまだ分からない。しかし、両社の連携によりもたらされるより具体的な直近の未来において、Oculusは独自の運営を続け、仮想ゲームを主な目的としたOculus Riftを開発していくはずだ。両社とも、デバイスのリリース時期について詳細を明かす準備はできていなかった。
それでも、もし、Zuckerberg氏とIribe氏の思い通りになった場合、ユーザーのオンラインでのやり取りは、デジタルショッピングからバーチャルハグまですべて、現実に行うのと同じくらい良いものに感じられるようになるだろう。Iribe氏が述べるように、仮想現実というとSFのように聞こえるが、SFは現実化する傾向がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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