震災からのさまざまな問題を乗り越えてきた日本。2013年の訪日外国人旅行者数は、観光庁発足からの目標であった1000万人を初めて突破した。6年後の東京オリンピックに向け旅行業界はますますの盛り上がりを見せることだろう。では、訪日外国人旅行者の中でも多くの割合を占める中国人旅行者は今後どのように変化していくのだろうか?昨今のトレンドを含め、中国オンラインリサーチ最大手iresearch社(アイリサーチ)のデータをもとに分析してみた。
近くて遠い国と言われて久しい中国ではEコマース市場における成長が著しい。アイリサーチの最新のデータによると、2012年の市場規模は、日本を軽く超え、8.1兆元(約139兆680億円)。2014年以降、前年同期比で20%前後のペースで増加していくというから驚きだ。中国のEコマース市場の巨大さを理解するには、中国で「シングルの日(双11日)」と呼ばれる11月11日におけるEコマースの売上をみると早いだろう。2013年11月11日、この日1日のEコマースにおける売上は、なんと約50億元(約5600億円)になった。
そんな好調なEコマースの波は中国の旅行業界にも訪れている。「中青旅」など既存旅行事業者(もともとオンライン販売だけの旅行事業者を除く)も、双11日の次にオンラインでの購入が増える双12(12月12日)でのキャンペーンを発表。双12当日のサイト閲覧ユーザー数は、PCやモバイルを合わせて1億人以上。購入者は数百万人になったとも言われる。
オンライン旅行サイトを個別で見ていくと、「携程」は、双12に合わせて、最高で95%オフのキャンペーンのほか、ホテルやエアチケット、移動料金の割引を実施。1カ月ほどキャンペーンを繰り広げた。また「去哪儿网」は、抽選で5000元分のチケットなどが無料にするキャンペーンを毎週実施するなど競争が激化している。
日本の一部にも影響を及ぼしている中国の空気汚染。中国の中では、「都市部にいては肺が汚れてしまう。それなら空気のきれいなビーチ、森林などの場所に行こう」ということで、「洗肺遊(肺を洗う旅)」ツアーが現在中国で新たなブームになっている。国内では海南島の三亜が一番人気で、12月第1週の予約者数は前年同期比3割を超過した。2位はアモイ、3位が麗江となっている。人気のツアーは、4~5日で1300元(約2万2000円)前後だ。
このほかに、海外旅行を指す「換肺遊」ツアーも人気だ。春節に備え、空気がキレイで温暖なリゾート地に人気が集中し、プーケット、バリ島、モーリシャス、チェジュ島、モルディブの順に人気があるようだ。
正月休みと言えば、日本人は、大みそかから正月三が日を思い浮かべるが、中国の正月休みは旧暦で設定されているため、旧正月は現在の1月22日ごろから2月19日ごろまで毎年変わる。旧正月から1週間前後が休みになり、この時期は日本に訪れる中国人旅行者も増える。2014年の旧正月は、1月31日となっている。靖国参拝の影響はそれほどないようなので、多くの訪日中国人旅行者がこの期間に日本を訪れることが予想される。
今までの中国人旅行者のトレンドは、東京と大阪の都市部を移動し、ショッピングを主に楽しむ形であったが、近年では花見や紅葉などを見て回るプランが組み込まれ、イチゴ狩りやブドウ狩りなど体験型の観光をメインとするものも多くなっている。
日本にも自然いっぱいの屋久島、白神山地、知床などの世界自然遺産があり、富士山も自然遺産登録されたので、今年の春節には、銀座や秋葉原でショッピングを楽しむだけではなく、日本のキレイな空気求めて訪れる中国人観光客が多く訪れるかもしれない。
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