Appleはこれまでのところ、モバイル決済市場への進出に慎重な姿勢を見せている。だが、新たに公開された特許申請書類には、携帯電話を使って安全に電子決済ができるようにするバックエンドシステム全体の説明がある。
米特許商標庁(USPTO)が米国時間1月16日に公開したこの特許は、「Method to send payment data through various air interfaces without compromising user data(ユーザーのデータを危険にさらさずに、さまざまな無線インターフェースを通じて決済データを送信する方法)」という名称で、既存の携帯電話技術を利用して安全に電子商取引を行う方法を説明している。
ユーザーが携帯電話を使って商品に対する支払いをすると、商取引を処理するよう設計されたバックエンドシステムに、小売業者のPOS端末が接続される。
近距離無線通信(NFC)などの無線技術を利用して、ユーザーの端末とPOS端末の間には安全なリンクが確立される。だが、AppleはまだNFCを取り入れていないので、特許申請書類には、現実的に長時間のリンクを維持するのにより望ましい技術としてWi-FiとBluetoothを挙げている。
続いて、ユーザーの携帯電話とバックエンドサーバとの間にもう1つの安全なリンクを確立する。この時、クレジットカードなどの決済方法を識別するエイリアスとともに、この2つの端末だけの「共有秘密情報」が使用される。共有秘密情報には、対称鍵や公開鍵/秘密鍵などの暗号化情報が含まれる。
暗号鍵は、共有秘密情報から作成され、ユーザーの携帯電話に安全に保存される。続いて、サーバが共有秘密情報を基に鍵を作成し、ユーザーの携帯電話の鍵と比較する。鍵が一致すれば、サーバは正規の取引と判断し、ユーザーのクレジットカードに請求される。鍵が一致しなければ、支払いが取り消され、取引は拒否される。
消費者は、携帯電話を使って出先で商品に対する支払いを行うのに慎重になる理由の1つとして、安全面への不安を挙げることが多い。Appleの特許申請は、ユーザーの携帯電話のために安全性が期待できる2つの異なるリンクを確立することによって、こうした不安に対処しようとするものだ。だが、いつものように、特許を申請したからといって、Appleのモバイル決済システムが日の目を見るとは限らない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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