毎月1冊の本を書き上げるという著者の上阪徹氏。1冊の本に必要な文字数は大体10万字。途方もない数字のように思えるが、上阪氏は実際にそれだけの量を書いているのだ。一体どうすればそれほどの量を毎月書き続けられるのか、そしてなぜそれほどの量を書く必要があるのか、疑問に思うのも当然だ。その疑問に答えるべく、著作のノウハウを惜しげもなく提供しているのが本書だ。
「ブックライター」という職業は、一般的にはそれほどなじみのあるものではないだろう。ブックライターは、自分の本も書くがそれだけではない。さまざまな分野で活躍する人たちが、自分の本を出したいと思ったときに、本業が忙しい本人に変わって文章を書くのだ。それは「ゴーストライター」という影の存在のような言葉からイメージするネガティブな仕事ではない。本業で成功している人が、慣れない「本を書く」という作業のために無駄な時間を費やすよりも、文章のプロが本人を取材して本にする方が効率もよく、双方が幸せになれるのだ。
それにしても1冊の本を完成させるまでの道のりは、遠く険しい。何時間もかけて取材をし、膨大な素材と資料を読み込み、情報を整理して本として成り立つように構成を考え、文章にする。本という形式ではなくても、論文や取扱説明書など、まとまって量の文章を書いて1冊に仕上げる作業をしたことのある人ならばその大変さはよく分かるだろう。そこで苦労した経験を持つ人やこれから本を書いてみたい人には、大いに参考になるはずだ。
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