Amazonが新たに発売した「Kindle Fire HD(2013年モデル)」は、139ドルからという値付けになっている超低価格タブレットである。同社のE Ink式電子書籍リーダー「Kindle Paperwhite」よりも20ドル高いだけという価格には目を見張るものがあり、その使用目的がストリーミングビデオや楽曲の鑑賞、読書、ちょっとしたゲーム、たまのウェブサーフィン程度に限られるのであれば、ニーズに見合った製品と言えるだろう。ただ、それ以上のことを望む場合には問題が首をもたげてくる。
このエントリーユーザー向けの製品(基本的には2012年に発売されたKindle Fire HDのハードウェアをアップデートしたもの)には、カメラが搭載されておらず、ストレージもほんの少ししかない。139ドルのモデルには8Gバイトのストレージが搭載されているとはいえ、実際に使用できる領域は5Gバイト未満となる。これはほとんどのHD映画にとって不十分であり、HDのテレビ番組を数エピソード保存できる程度でしかない。また、「Asphalt 8: Airborne」のようなハイエンドのゲームをいくつかインストールすると、あっという間にストレージが枯渇してしまう。
こういった理由があるため、筆者は169ドルの16Gバイト版をお勧めしている。これでストレージに少し余裕ができるため、ほとんどのユーザーはイライラを低減できるはずだ。ただし、今回のKindle Fire HDにはカメラが搭載されておらず、「Fire OS」に搭載されている「Mayday」というテクニカルサポートなどのソフトウェア機能もいくつか割愛されているため、Amazonのエコシステムや、同社の提供している恩恵すべてを享受することはできない。
これらの恩恵を享受したいユーザーに向けて、229ドルの「Kindle Fire HDX 7」が提供されているというわけだ。この製品はより高速に動作し、Amazonのソフトウェアで利用可能な機能すべてが使用でき、カメラも搭載している。さらに、大容量のストレージが欲しいというユーザーのために、32Gバイトのバージョンも269ドルで用意されている。
とは言うものの、出費を200ドル以下に抑えたいというのであれば、過剰な期待を抱かない限り、Kindle Fire HD(2013年モデル)は十分使い物になるタブレットだと言える。この製品をどちらかといえば、クールなタブレット機能を備えた電子書籍リーダーと考えるのであれば、その価格の低さは何ものにも代え難い利点となるはずだ。
2012年モデルのKindle Fire HDは持った時の快適さよりも頑丈さを優先したような、分厚くてがっしりとした製品だった。今回発売された2013年モデルのデザインははるかに考え抜かれたものとなっている。その四隅は筆者の好きな面取り加工がなされていないものの、バランスに優れており、片手で持っても快適だ。また、軽くなっているが軽すぎるとまでは感じない。ただし、7インチのKindle Fire HDX 7よりは少し重くなっている。
電源ボタンとボリュームロッカーはいずれも背面に移動され、旧型のKindle Fire HDと比べると見つけやすく、押しやすくなっているものの、それが最善のソリューションであるかどうかは何とも言えない。横長の状態にして持っている際には問題はない(背面のエッジの感触がガイドとなる)ものの、スリープからすぐさま復帰させたい時に側面のボタンに手を伸ばすのではなく、背面にあるボタンを探り当てるためにまず手に取る必要があるのは面倒に感じられる。
スペック | Amazon Kindle Fire HD (2013年) |
Amazon Kindle Fire HDX 7 (2013年) |
Amazon Kindle Fire HD (2012年) |
Google Nexus 7 (2013年) |
Apple iPad mini (2013年) |
---|---|---|---|---|---|
重量 (ポンド/g) |
0.74 (約345) |
0.66 (約303) |
0.86 (約395) |
0.66 (約299) |
0.73 (約331) |
横置き時の幅 (インチ/cm) |
7.5 (約19.1) |
7.3 (約18.6) |
7.7 (約19.3) |
7.8 (約20.0) |
7.87 (約20.0) |
横置き時の高さ (インチ/cm) |
5.0 (約12.8) |
5.0 (約12.8) |
5.4 (約13.7) |
4.5 (約11.4) |
5.3 (約13.4) |
厚さ (インチ/cm) |
0.42 (約1.06) |
0.35 (約0.9) |
0.4 (約1.03) |
0.34 (約0.86) |
0.29 (約0.75) |
横置き時の左右ベゼル幅 (インチ/cm) |
0.8 (約2.03) |
0.6 (約1.52) |
0.9 (約2.29) |
1.0 (約2.54) |
0.26 (約0.67) |
左側面にはMicro-USBポートが、右側面にはヘッドフォンジャックが配置されている。ただしKindle Fire HDの2012年モデルに搭載されていたMicro-HDMIポートと前面カメラはいずれも非搭載となっている。
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