長くうわさされてきたが、まだ実像がつかめていないAppleの自社製テレビについて、筆者が記事を書いてから久しい。とはいうものの、テレビ業界内部の情報筋によると、これまで一度も正式に発表されたことのないこのプロジェクトは、現在保留されているという。
このニュースを伝えたのは、NPR DisplaySearchのアナリストPaul Gagnon氏だ。Gagnon氏によると、Appleの自社製テレビは「ウェアラブルデバイスのリリース」までの間、保留扱いになっている可能性があるという。ウェアラブルデバイスはAppleの伝説的な製品をまた新たな製品に置き換えるものだ。
Gagnon氏はまた、別の障害、つまりコンテンツの問題についても強調している。
「Appleにとって、ハードウェア製品の販売は、より多くのソフトウェアとコンテンツを販売するための手段の一部となっている。もし『iPod』と『iTunes』を組み合わせたシステムが顧客に対して楽曲とアルバムの購入を駆り立てる手段としてうまく活用されることがなかったら、Appleにとって今日のような大成功につながることはなかっただろう。同様に、『iPhone』と『iPad』もコンテンツとアプリの両方の購入を拡大させており、これが非常に高い利益幅をAppleにもたらしている。確かにAppleにとって、こうしたハードウェア製品もかなりの利益を生み出しているのだが、それはひとえに数千万台にのぼる販売台数のおかげであり、これらの製品が比較的頻繁に買い換えおよびアップグレードされているためだ」(Gagnon氏)
筆者はこれまで常にAppleブランドのテレビについて懐疑的にみてきた(テレビ業界は競争が苛烈であり、市場は成熟し、利益幅は極めて低い)。一方Gagnon氏は、Appleブランドかどうかに関係なく、テレビで成功する上で次の3つの目標を提示している。
平均的なテレビ買い替えサイクルが約7年であることを考えると、上記の最後のポイントは実にやっかいだ。これに対して、スマートフォンの買い替えサイクルは約3年だ。それに加えて、Appleは1世帯に1台しか売ることができないだろう。iPhoneやiPadの場合のように、1人に1台を売るというわけにはいかないのだ。
Appleがリビングルームをめぐる覇権争いで優位に立とうとして高価なテレビを製造することは、あまり意味がないというのが筆者の意見だ。Appleは低価格なデバイスとしてセットトップボックス「Apple TV」を販売しており、これはHDMIポートを備えたあらゆるテレビに接続が可能だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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