Mac「OS X Mavericks」レビュー--高速化、操作性向上した最新OSを無料提供 - (page 4)

Jason Parker (CNET News) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子2013年11月06日 07時30分

「iCloud Keychain」でログイン情報も安全に管理

 ユーザー名とパスワードを管理するサードパーティーアプリは優れたものが数多く出回っているものの、iCloud Keychainによってこういったセキュリティの強化機能(パスワードすべてを覚えておく必要から解放されるのは言うまでもない)があらかじめOSに搭載されることになる。また、ウェブサイトのユーザー名とパスワードを保存しておけば、すべてのiOSデバイスからそれらを使用できるようにもなる。これらの情報すべてはデバイス上でも通信経路上でも256ビットのAES暗号で保護される。Apple側で管理されるデータは既に暗号化された状態のものであり、復号化に必要な鍵は保持されないようになっているという。

 サードパーティー製の一般的なパスワード管理アプリと同様に、iCloud Keychainは複雑なパスワードを推奨した後、それらをすべてのデバイスへとプッシュしてくれる。また、ログイン時のフィールドにも自動的に記入してくれるため、そういった情報を覚えておく必要もない。

提供:Apple
提供:Apple

存在に疑問を感じる機能もある

 筆者は「Mountain Lion」のレビューにおいて、こうした懸念の一部について指摘していた。それらは本当にまずいというものではないが、容易に修正できそうなものであった。しかし、Mavericksでもそれらには手がつけられていない。例えば、アプリをオープンする際にはFinderを使うという方法が用意されているものの、いまだに「Launchpad」という代替手法が存在している。iOSのユーザーエクスペリエンスをMac OSに押し込めるのではなく、1つの方法にまとめられなかったのだろうか?これは単なる好みの問題かもしれないが、筆者は将来的に何らかのかたちで解決してほしいと望んでいる。先ほど述べたとおり、必ずしも悪いことではないものの、改善の余地はまだあるように思える。

 Gatekeeperという機能は、Mountain Lionから引き継がれた、あまり便利ではない機能であるものの、いまだにそれは変わっていない。これは、ダウンロードしたアプリの実行時の動作を3つの選択肢から設定しておくという機能だ。その選択肢とは、「Mac App Storeからのアプリケーションのみを許可」(最も安全)と「Mac App Storeと確認済みの開発元からのアプリケーションを許可」(おそらく安全)、「すべてのアプリケーションを許可」(最も安全度が低い)である。Gatekeeperは初心者ユーザーにとっては優れた機能であるが、少し慣れたユーザーであれば「すべてのアプリケーションを許可」に設定し、注意深く実行ファイルを選択するはずだ。Launchpadと同様に、Gatekeeperは悪いものではなく、一部のユーザーにとっては有益なのかもしれないが、ほとんどのユーザーにとって必須の機能であるようには感じられない。

価格と利用可能性

 AppleのMavericksは既に利用可能となっており、同社のイベントでの驚くべき発表の通り、「Snow Leopard」(2007年にリリースされている)のような古いOSを稼働させている場合も含めて全ユーザーに無償で提供されている。Mountain Lionのアップグレード価格は19.99ドルであったため、筆者はMavericksも同じくらいの価格になるのではないかと考えていた。「Windows」ユーザーはアップグレードにそれなりのお金を支払っているという状況があるなかで、Appleは新OSを無償にするという素晴らしい決断を下したわけだ。

まとめ

 OS XはMavericksにおいて劇的な進化を遂げたわけではないものの、しっかりとした土台の上でさらなる改善を施すとともに、iOSからの新機能をMacユーザーにもたらすことで仕事や娯楽における利便性を追求している。これらの追加機能がMacユーザーにとってメリットとなるのは間違いなく、無償でアップグレードできるという点を考え合わせると、アップデートして新たな機能を追加しないという理由はないだろう。しかしMavericksは、Windowsユーザーに乗り換えを決断させるだけの野心的な内容となっているだろうか?おそらくそうはなっていないだろう。しかし筆者は、最新のMac OSが提供する機能一式の他に見るべき点があると考えている。

 MicrosoftはWindows 8.1において、タッチ操作中心のインターフェースを嫌う人々に対してある種の譲歩を行った(「Start」ボタンを追加し、起動後にデスクトップが直接表示されるようにした)ものの、マウスとキーボードを使用している多くのデスクトップユーザーを当惑させ続けている。正直なところ筆者は、Windows 8.1がさまざまな面で数多くの改善を施した優れたアップグレードだと考えているものの、移行に二の足を踏んでいる人々がいるという事実も理解している。Windows 8ではスタート画面からMetroアプリに至るまでがまったく新たなエクスペリエンスとなった。こうしたWindowsとのまったく新しいやり取りをすべての人々が好んでいるわけではないのである。このため、WindowsユーザーがMacに乗り換えることがある場合、それはOS Xによって提供されるものを期待してというよりも、Microsoftのビジョンに抗議してという理由の方が大きそうだ。

 Macユーザーにとって、Mavericksはしっかりした(しかし劇的と言えるほどには変わっていない)、そして現在のOS Xユーザーに追加コストを強いることのないアップグレードである。また「Metro」以外の何かを探しているWindowsユーザーにとって、Mavericksは今までよりも簡単に乗り換えられるOSとなっているはずだ。というのも、Mavericksは(現時点で)なじみのあるコンピューティング方法に利便性と速度を追加する多くの機能が搭載されたものとなっているためだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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