光学ドライブは死んだ。少なくとも、得意げに最期の声を上げている。
PCではまだだが、Appleの「Mac」では間違いなくそうだ。米国時間10月22日にAppleは、アップデートされた「MacBook Pro with Retina Display」と、全く新しい「Mac Pro」を同時に発表した。今回アップデートされなかったのはRetina Display非搭載の「MacBook Pro」で、これはApple製品の中で唯一、今でも光学ドライブを搭載する端末である。事実、AppleはRetina Display非搭載MacBook Proの15インチモデルを廃止し、この製品ラインを13インチモデルのみに削減している。同社は過去にもこのような形で製品ラインをスリム化したことがあるが、それは一般的に製品の廃止が迫りつつあるサインだ。
こうしたことは全て、2008年の「MacBook Air」発売から始まった。この特別なコンピュータは、光学ドライブと多くのポートを取り去ることによって、1インチほどの厚みがあるMacBook Proを薄型化したものだ。
価格が高かったためにほとんどの人は、Appleのより価格の安いノートブックの代わりにMacBook Airに飛びつくことを避けた。しかし時間がたつにつれて、MacBook Airにはさらに薄型で価格が安い高性能モデルが登場し、最終的にはプラスチック製のMacBookに代わるエントリーレベルのノートブックとなった。
しかし2008年まで時間を巻き戻してみると、Appleは賭けに出ていたことが分かる。それは同社が、自社製アプリと他社製アプリの両方を対象としたソフトウェア販売システムの「Mac App Store」をオープンさせる丸3年前である。また、AdobeやMicrosoftのような大手のサードパーティーメーカーが自社の最大の製品をクラウドサブスクリプションシステムに変更する何年か前だ。Netflixのストリーミングサービス(現在は、世界中で4000万人以上が利用している)でさえ、まだ初期の段階だった。
ただし暫定的な措置もいくつかあった。その1つとしては、AppleのデスクトップOSの「OS X」に組み込まれた新機能、もしくはPC向けのユーティリティがあり、これによってMacBook Airユーザーは、別のコンピュータに搭載されている光学ドライブをWi-Fi経由で使うことができた。Appleはまた、単体の外付け光学ドライブを79ドルで販売するとともに、OSリカバリツールをUSBスティックで提供するようになった。このUSBドングルはやがて、ブロードバンド接続でOSの新しいコピーをダウンロードできるリカバリツールに置き換えられた。
マシンから光学ドライブを取り去ったのは、Appleが最初ではない。しかしAppleがそうした変更を行ったのは、多くのライバルのPCメーカーがノートブック上の光学ドライブを、DVDリーダーから、高解像度ディスクの読み取りが可能なドライブへとアップグレードしようとしている時期だった。「iTunes」経由での映画やテレビ番組の販売でますます多くの金を稼ぎ出していたAppleにとって、そうしたアップグレードは意味のないことだった。さらにHD-DVDとBlu-Ray(当時交戦中だった高解像度ディスクフォーマット)の間の争いが終結したのは、2008年のMacBook Air発売の1カ月後のことだ。そうしたドライブを採用した初期のノートブックのいくつかは大型だっただけではなく、ハイエンドのハードウェアを必要としたために価格も上昇した。
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