ソニーは10月31日、2014年3月期の中間連結決算(2013年4~9月)を発表した。売上高は前年同期比11.8%増の3兆4881億9800万円、営業利益は同40%増の511億2100万円。税引前純利益は同79.7%増の522億1700万円。純利益は前年に比べて改善したものの、158億700万円の赤字となった。
「為替の好影響とスマートフォン事業の好調な業績で前年を大幅に伸張したものの、AVとIT市場の縮小、新興国の景気減速でエレクトロニクス事業の環境は想定よりも悪化。一部エレクトロニクス製品の年間販売台数見通しは下方修正した」(ソニー 取締役 代表執行役 エグゼクティブバイスプレジデント 最高財務責任者=CFO 加藤優氏)
その結果、通期見通しも8月発表よりも下方修正し、売上高は2.5%減の7兆7000億円、営業利益は26.1%減の1700億円、税引前利益は14.3%減の1800億円、当期純利益は40%減の300億円とする。市場全体が不振となっているPC事業については「あらゆる角度から体制の見直しをはかる」(加藤氏)ことを明言。具体的な時期、内容などは明らかにしていないが、「来期には実行できるようにする」(ソニー 業務執行役員 神戸司郎氏)方針だ。
2014年3月期の第2四半期(2013年7~9月)の連結業績は、売上高は前年同期比10.6%増の1兆7755億円となったが、為替変動がなかった場合を試算すると同9.1%減となる。営業利益は同51.6%減の148億円、税引前利益は同69.6%減の60億円、当期純利益は193億円の赤字となった。
増収の要因となったのは為替の好影響とスマートフォンの大幅な増収。2012年9月にケミカルプロダクツ関連事業を売却した影響、ビデオカメラとコンパクトデジタルカメラの減収も影響を及ぼしている。営業利益が減益となったのは、主に映画分野での大幅な損益悪化が影響したため。
セグメント別ではイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野の売上高は同6.9%減の1755億円、営業利益は23億円の赤字。ゲーム分野の売上高は同5.1%増の1557億円、営業利益は8億円の赤字。モバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C)分野の売上高は同39.3%増の4186億円、営業利益は9億円の赤字。ホームエンターテインメント&サウンド(HE&S)分野の売上高は同11.8%増の2638億円、営業利益は121億円の赤字となった。
デバイス分野の売上高は同16.7%減の2081億円、営業利益は60%減の119億円。映画分野の売上高は同9.1%増の1778億円、営業利益は178億円の赤字。音楽分野の売上高は同15.9%増の1150億円、営業利益は同23.5%増の97億円。金融分野の売上高は同5.9%増の2450億円、営業利益は同25.7%増の392億円。
「IP&S分野は市場縮小に伴うビデオカメラとコンパクトデジタルカメラの減収で分野全体で減収となった。ゲーム分野はハードウェアの減収があったものの為替の好影響、PS3用ソフトの増収で分野全体でほぼ横ばいとなった。MP&C分野はスマートフォン販売台数が大幅に増加し、分野全体で大幅増収。HE&S分野は液晶テレビの販売台数が大幅に減少したが、為替の好影響で分野全体では増益となった」(神戸氏)
通期の連結業績見通しとしては、テレビやPCといったエレクトロニクス製品の年間販売台数を下方修正したことで、売上高は同2.5%減の7兆7000億円、営業利益は同26.1%減の1700億円、税引前利益は同14.3%減の1800億円、当期純利益は同40%減の300億円とする。
下方修正したエレクトロニクス製品は、ビデオカメラの販売台数は中間期時点では120万台で、通期見通しは8月発表時点よりも20万台下方修正した230万台に、デジタルカメラは中間期時点で590万台、通期見通しは50万台下方修正の1200万台に、PCは中間期時点で280万台、通期見通しは40万台下方修正の580万台、液晶テレビは中間期時点で640万台、通期見通しを100万台下方修正の1400万台に、スマートフォンは中間期時点で1960万台、通期見通しは4200万台のまま据え置く。
PCについては市場全体が縮小傾向にあることから「事業構造の抜本的な改革が急務」(加藤氏)とした。具体的な改革内容については、「現時点では改革内容を策定中で明らかにできないが、時間はそれほどないと考える。早期にプランを作り、来年度から実行できるようにしたい」(神戸氏)とする見込みだ。
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