ソニーは8月1日、2014年3月期第1四半期(4~6月)の連結業績を発表した。スマートフォンや金融事業が好調に推移したほか、為替の好影響を受け、大幅な増収増益となった。またテレビ事業が12四半期ぶりに黒字化したことをはじめ、エレクトロニクス5分野合計で黒字となった。
売上高は1兆7127億円(前年同期比13%増)、営業利益は364億円(同63億円)、税引き前利益は463億円(同94億円)、当期純利益は35億円(前年同期は246億円の損失)となった。
売上高3890億円(同36.2%増)、営業利益59億円(前年同期は281億円の損失)と大きな増収増益に結びついたモバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C)分野は、「Xperia Z」「 Xperia A」の2モデルを筆頭に、スマートフォンの販売が増収に大きく貢献した。スマートフォン事業の好調さを、ソニー代表執行役EVP CFOの加藤優氏は「ソニーモバイルコミュニケーションズを100%子会社化したことが大きい」と話す。「ジョイントベンチャーだった時は、ソニーが持つ最先端の技術をすべて出すことが難しかったが、100%子会社化してからはディスプレイ、電池、カメラなど、すべての技術をつぎ込んで商品開発をしている。最先端の技術を投入したモデルを短時間で市場に投入できたことが要因」とし、こうした製品開発の結果、単価アップにも結びついたという。
単価アップができたジャンルとしてもう一つ挙げられたのがコンパクトデジタルカメラだ。今期はビデオカメラ、コンパクトデジタルカメラともに販売台数の減少に苦しんだが、その中でも高級コンパクトデジカメ「RX」シリーズは単価アップを図ったという。7月からはプロフェッショナル分野との一体運営も開始されたというイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野。「技術と人材を連携させ、幅広い領域への展開を目指す」(加藤氏)とした。
テレビ、オーディオ製品などを持つホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野は、売上高2752億円(同9.3%増)、営業利益34億円(前年同期は100億円の損失)と黒字化した。中でも懸案材料とされていたテレビ事業は売上高1856億円(同18.2%増)、営業利益52億円(前年同期は66億円の損失)と2010年度第1四半期以来、12四半期ぶりに黒字化を達成。「地味に着実にやってきた固定費削減の効果が出てきている。材料費、パネルの調達なども工夫しながら取り組んできた。加えて4Kをはじめとするハイエンドモデルのラインアップにより平均単価が上がってきている」(加藤氏)と現状を分析する。
これによりソニーは、MP&C、IP&S、HE&S、ゲーム、デバイスのエレクトロニクス5分野合計で黒字を計上している。
PS3、PSPの販売台数減により、売上高は前年同期比ほぼ横ばいの1179億円、営業損失148億円となったゲーム分野は、年末のPS4発売へと期待を寄せる。「米国で開催されたゲームショウ『E3』で詳細を発表したところ、大変高い評価を得ている。周辺機器やソフトのラインアップも拡充することで、年末の発売に向け万全の体制で取り組む」(加藤氏)とした。
全体的に好調に推移した第1四半期だが、2014年3月期通期の連結業績予想は売上高を7兆9000億円(前回発表時7兆5000億円)と上方修正したものの、営業利益は2300億円を据え置いた。その要因を加藤氏は 「中国や新興国市場は伸びてはいるが、期待値に比べると若干下目にくると見ている」とし、慎重に見ていることを訴えた。
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