ソニーは5月22日、2012年4月以降進めてきた経営施策の進捗と2013年度以降の取り組みについて、経営方針説明会を実施した。代表執行役社長 兼 CEOの平井一夫氏が、身振り手振りを交えて約40分に渡るプレゼンを行った。
まず、売上高は6兆8000億円(前年比4.7%増)、営業利益は2301億円(前年は673億円の損失)と黒字転換した2012年度の業績を受け「利益を出すことは何よりも重要だと思っている。景気回復基調と相まって、追い風の中でモメンタムを掴んで、攻めの体制に転じることが2013年度最大の課題」と取り組むべき課題を明確にした。
コア事業に位置づけられるモバイル、デジタルイメージング、ゲームでは「将来につながる魅力ある商品」としてスマートフォン「Xperia Z」とコンパクトデジタルカメラ「DSC-RX1」を紹介。Xperia Zについては「新しい体験を生む機能や技術を惜しみなく投入したワンソニーを象徴するモデル。欧州においても高い評価を得ている」と自信を見せる。
再編に取り組む、テレビ事業については「2012年度はいたずらに数を追わず、固定費削減と経営体質強化に取り組んだ結果、赤字額は半分以上削減できた。想定以上に黒字化に向けて進んでいる」と現状を分析。2013年度については「まさしく攻めにシフトし、商品力強化と付加価値により販売台数アップを狙う。4K液晶テレビのラインアップを追加する一方、新興国のニーズを先取りすることで販売台数増加を目指す。固定費削減は継続的に進める」と攻めの姿勢に転じることを明らかにした。
これらの取り組みにより、2014年度の経営数値目標は、グループ全体の売上高が8兆5000億円、営業利益率を5%以上に設定。その内エレクトロニクス事業は売上高6兆円、営業利益率5%を目指すとした。
コア事業の一つであるゲームは、年末に「PlayStation 4」(PS4)の発売を控える。「激化する市場環境の中PS4ではまさしく攻めの姿勢でビジネス拡大を狙う。専用機でなくてはお届けできない最高のゲーム体験を提供していく。一方スマートフォンやタブレットにもオープンに共有できる機能を提供する」ことも明らかにした。また「コンテンツはダウンロードが中心になっているが、クラウド技術を生かしながらストリーミングでのゲーム提供を積極的に推進する。幅広いデバイス上でお楽しみいただくことでビジネス拡大見込めると考えている」との施策を発表した。
平井氏は2013年度の基本方針を
と発表。「2012年に戦略や施策は実績が伴ってはじめて意味があるもの。確実に実績を積み上げるしかないと言った。3つの基本方針を着実に実行し、変革を推し進めることで経営数値目標を確実に達成する。お客様の感情を揺さぶり、刺激するような世界に先駆けた商品、サービスを生み出すことが、ソニーの真の復活につながる」と今後の方向性を力強く示した。
ソニーでは、5月8日に取締役候補として原田泳幸氏と伊藤穣一氏を選任したことを発表。人選について質問が及ぶと「原田さんはアップルなどコンピュータビジネスで活躍されてきた知見と、現職である日本マクドナルドの代表取締役会長兼社長で最高経営責任者(CEO)では、お客様と直接対話する接点が大きい会社をマネジメントされている。伊藤氏は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のMedia Lab所長というイノベーティブなビジネスや人脈、ご自身の経験がある。こうしたところからアドバイスが頂けると考えている」とした。
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