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大学のオンライン講座の無料化を目指す「JMOOC」発足--ドコモがシステム開発

藤井涼 (編集部)2013年10月11日 19時35分
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 ネット上で誰でも大学レベルの授業を無償で受けられる“大規模公開オンライン教育”のプラットフォーム提供を目指す一般社団法人「日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)」が10月11日に設立された。2014年春以降に各大学のオンライン講座を開講する予定で、システムはNTTドコモが構築する。将来的にはアジア諸国に対しても、オープンなオンライン学習環境を提供したいとしている。

  • JMOOCの役員メンバー

 米国などでは2012年から、主要大学や有名教授による授業をオープンオンライン講座として公開し、世界から最大20万人が受講できる教育サービス「MOOC(Massive Open Online Courses)」が急増している。代表的なMOOCである「Coursera」や「edX」には、米国だけでなく欧州やアジアの大学も参加しており、受講者に正規に単位を付与する大学や、認定資格を企業の採用基準として活用する事例も出てきているという。

 今回設立されたJMOOCでは、日本においてもこうした環境を構築することを目指し、会員企業や大学、団体からの会費によって運営していく。ただし、5年間の時限法人として設立しているため、3年目に第3者による評価をもって、5年目以降も存続するかどうかを判断するという。JMOOCの事務局長である明治大学 特任教授の福原美三氏は、3年目時点での受講者の目安として100万人を掲げ「マーケット規模を考えれば不可能な数字ではない」と語る。

 設立時は、NTTドコモや住友商事、富士通、ネットラーニング、放送大学、明治大学など30を超える組織が会員として加盟している。また現時点で、大阪大学、九州大学、京都大学、慶應義塾大学、国際教養大学、東京大学、広島大学、文化学園、放送大学、北海道大学、明治大学、立命館大学、早稲田大学の講師によるオンライン講座が決定しており、4月以降に順次開講していく予定だという。

  • JMOOCの趣旨

  • JMOOCの基本理念

  • 5年間の時限法人として設立

  • JMOOCの運営体制

  • 会員企業や大学、団体からの会費によって運営する

  • 2014年春からオンライン講座を開講

 JMOOCの理事長を務める放送大学学院 理事長の白井克彦氏は「既存の大学は対面での教育であり別物だと思っている。JMOOCによる教育や学習方法は、大げさにいえば人類の学習形態の革命といえるのではないか」とコメント。また、高レベルな大学教育だけでなく、社会人の日常生活などでも役立つような教材を広く提供していきたいと語り、「日本中の大学に参加の呼びかけをしていきたい」と意気込んだ。

ドコモと東大でMOOC×反転学習の共同研究

 同日にはNTTドコモと東京大学が、MOOCを活用した反転学習の共同研究を10月から開始することも発表された。反転学習とは、一般的な説明型の授業をオンライン教材化して自宅などで予習することで、教室では説明型の授業はせず、これまで宿題とされていた応用課題を対話的に学ぶことで、学習効果を高める授業形態のことだ。

 共同研究は、MOOCと反転学習を組み合わせた新たな学習モデルを開発するため、2016年9月末までの3年間にわたり開設される「東京大学情報学環 反転学習社会連携講座(FLIT)」において行われる。この一環として、MOOCを活用した反転学習の検証を2014年春から開始するという。

  • リアルとデジタルを融合させたハイブリッドラーニングを目指す

  • MOOCを活用した反転学習の共同研究

  • 共同研究の体制

 MOOCでは1週間の間に「ビデオ講義」「質問・議論」「課題・提出」という流れでオンライン学習をするが、今回の共同研究では、オンラインのみの学習と、オンラインと対面講義を組み合わせた学習を、隔週ごとに実施して学習効果を検証するとしている。

 NTTドコモ 執行役員の中山俊樹氏は、スマートフォンの普及によって、音楽や動画といったデジタルコンテンツの利用だけでなく、ECサイトでの商品購入など日常生活においてもモバイル端末を活用するシーンが増えてきていると語り、ドコモとして学習の分野にも積極的に取り組んでいきたいと説明。

  • NTTドコモ 執行役員の中山俊樹氏

 また、ITを活用した教育事業に約7年携わってきたという自身の経験から「デジタルやモバイルだけで成り立つ学びというのは非常に限られていると痛感している。そうした中で、MOOCや反転授業という新しいメソッドが出てきたことは興味深く、大いに刺激を受けた。新たな学習スタイルを確立のために、通信事業者としても精一杯取り組んでいきたい」と思いを述べた。

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