「iPhone 5c」レビュー--低価格版でも高性能、カラフルな外観 - (page 4)

iOS 7

　iPhone 5cとiPhone 5sの双方には、Appleの最新モバイル向けOSであるiOS 7がプリインストールされている。iPhoneのハードウェアが去年発売されたiPhone 5においてさまざまな点で進歩したのと同様に、iOS 7はグラフィックスからデザインまで幅広い改良が施されている。なじみのあるアプリも新しいレイアウトとなっており、「Siri」も機能拡張されてより多くの動作をこなしたり、多くの結果を見せてくれるようになっている。また、新たな着信音や警告音も追加されている。

提供：CNET staff

　自らのiPhoneにデベロッパービルドを既にインストールしている人も多くいる。製品バージョンはデベロッパービルドとそれほど大きな差はないように感じられる。OSとしての動作に着目した場合、iOS 7はiPhone 5c上でもスムーズに動作するが、美しさという点に着目した場合、明暗入り交じった評価となる時もある。「Safari」をはじめとする多くのアプリでは、画面を最大限に活用するレイアウトが採用されており、素晴らしいメリットが感じられるものの、そのインターフェースやメニューには時として混乱させられる。Facebookのページがリニューアルされた時のように、昔からのユーザーは突然混乱の渦に巻き込まれる（そしてそれが一時的なものであることを願う）というわけだ。また、プルダウンで表示される「通知センター」の強化といった機能拡張は歓迎できるものの、予定一覧の表示方法が新しくなって分かりにくくなった「Calendar」アプリなどは、iPhoneを昔から使い込んでいたユーザーから不満を投げかけられることになるだろう。

提供：Sarah Tew/CNET

　幸いにも、iOS 7には際立ったメリットがある。AirDropを用いることで、ローカル環境内での無線によるp2pファイル共有が可能になっているのだ。また、「FaceTime」では音声通話が可能になった。これによりWi-Fi経由で、帯域幅を大量に消費せず、はっきりとした素晴らしい音質での通話が無料で行えるようなったわけだ。さらに、画面下部から上方向にスワイプをすると表示される素晴らしい「コントロールセンター」も用意されおり、いつでも指先ひとつで必要な設定やコントロールの多くを操作できるようになっている。そしてSiriはより賢くなり、Bluetoothの有効化や、指定した映画のトレーラーを再生するといった、多くのことが行えるようになっている。

　米国では「Music」アプリに、「Pandora」とよく似た無料の音楽ストリーミングサービス「iTunes Radio」が組み込まれている。ユーザー自身で好みのアーティストのラジオステーションを作れるというのは素晴らしい。こういったストリーミングは広告付きであるものの、「iTunes Match」のユーザーは広告なしのストリーミングが楽しめる。いずれにせよ、無料であるという点を考えた場合、極めて素晴らしいものであり、重宝するはずだ。

提供：CNET staff

　iOS 7では、「Camera」アプリと「Photo」アプリにも手が加えられており、どちらも大きく進歩しているように感じられる。Cameraアプリには動画のデジタルズーム機能と、写真のフィルタ機能、さらに「Instagram」調の「真四角」なクロップモードが搭載されている。Photoアプリでは、今までに撮影した写真を年別や場所別に整理し、長大なタイムラインとして表示できる。これは膨大な数の写真をふるい分ける素晴らしい方法と言えるが、むしろ「Mac」の「iPhoto」向きだと感じられる。こういったアーカイブ形式の表示方法は、Mac上やPC上の写真ライブラリとの「iCloud」を通じた完全な同期やアップロードが有効になっていれば、ずっと便利に感じられるはずだ。

　Appleはまた、新しいデバイスの購入者に対して「iWork」のコアスイートや、「iMovie」「iPhoto」といったiOSアプリを無償で提供している。競合モバイル機器にバンドルされることも増えている生産性ソフトウェアに類するものが、ようやくiOSデバイスにも付加されるようになったというわけだ。