logo

64ビットプロセッサを搭載する「iPhone 5s」--その真の狙いとは - (page 2)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2013年09月18日 07時30分
  • 一覧
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 より高性能な64ビット演算は科学的シミュレーションのようなタスクには有効だが、モバイルではそれほど重要ではない。

 Appleのイベントで、Epic Gamesの幹部陣は「Infinity Blade 3」プレイ時のA7のパフォーマンスに大喜びだったし、4倍の精細さでドラゴンを描くことができるという彼らの主張を疑う理由はない。しかしそうしたパフォーマンスの向上は、64ビット設計よりも、A7の新しいグラフィックス機能と、よりリッチな「OpenGL ES 3.0」グラフィックスアクセラレーションインターフェースによって実現されている割合の方がおそらく大きい。

64ビットモバイルチップをあえて採用する理由

 64ビットコンピューティングは全面的な速度向上を実現するテクノロジではないが、採用するのに非常にもっともな理由がある。それは未来だ。

 しかしわれわれはここで再び、Schiller氏の熱意に少しの冷や水を浴びせなければならない。

 「PCの世界は32ビットから64ビットへの移行を経験した。それには何年もかかった。皆さんは今日、Appleが1日でモバイルコンピューティングシステムを32ビットから64ビットへと移行させようとしているのを見るだろう」(Schiller氏)

 確かに、AppleがiPhone 5sとA7プロセッサを発表するのに要した時間はわずか数時間だった。しかし、PC市場がそうであったように、モバイル市場が完全に64ビットに移行するまでには、何年もの歳月がかかるだろう。

 実際に、移行は数年前から既に始まっている。ARM Holdingsは4年間の社内開発を経た後の2011年に、64ビット「ARMv8」命令セットを発表した。これは同社がAppleやQualcomm、サムスンなどの多くのモバイルチップメーカーにライセンス供与しているチップ設計向けだ。AppleのA7はARMv8アーキテクチャを使用している。

 ハードウェア面の変更は第1段階にすぎない。その後にはソフトウェアが控えている。AppleはiOS 7を再設計し、64ビットのソフトウェアに変えた。具体的には、iOS 7の根幹をなすカーネル、同OSやほかのソフトウェアが利用する予め記述されたコードのライブラリ、ネットワークやタッチスクリーンなどのハードウェアと通信するときにカーネルが利用するデバイスドライバを再設計した。さらに、同社は「Xcode」開発者ツールの新バージョンも提供しているので、プログラマーは自らのiOS製品の64ビット版を構築できる。

 しかしソフトウェアエコシステム全体が64ビットに移行するまでには、何年もの歳月がかかるだろう。古いソフトウェアはいつまでたっても移行しないかもしれない。そのため、ARMv8チップが旧式の32ビットソフトウェアもシームレスに実行できるのは好ましい。プログラマーは旧型のiPhoneや新しい32ビットモデルである「iPhone 5c」向けに、これからもソフトウェアの32ビット版を構築する必要があるだろう。

 移行に長い時間がかかることを考えると、早い時期にハードウェアの足場を固めて、ソフトウェア市場が円滑に移行できるようにすることが重要だ。より大容量のRAMをモバイルデバイスに追加するのは困難だが、それもいずれ実現するだろう。それは先に「iPad」で実現するかもしれない。iPadはより高速なプロセッサと大容量のバッテリ、複雑なソフトウェアを扱える。コンピューティングエンジニアによって、それほど電力を消費しない新しい形態のメモリが商品化される可能性もある。

figure_2
Schiller氏は、Appleの新たなA7チップを採用するiPhone 5sについて、プロセッサ性能が向上していると述べたが、どのようなスピードテストを使ったのかについては詳しく説明しなかった。
提供:screenshot by Stephen Shankland/CNET

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]