大事な本からスクラップブックまで裁断せずにスキャン--「ScanSnap SV600」

 PFUは7月12日、ScanSnapの最新モデル「SV600」を販売開始した。SV600は、原稿を上部からスキャンしてデジタル化するオーバーヘッド型のスキャナで、従来のScanSnapとはまったく異なる形状をしている。スキャナ本体に原稿を挟まないため、新聞などの大きな原稿や裁断の難しい厚みのある本などをそのままスキャンできるのが特徴だ。

意外にコンパクトなSV600本体

「ScanSnap SV600」
「ScanSnap SV600」

 SV600のサイズは、高さ約40cm×幅21cm×奥行き約16cm。スキャナの横幅という点では、ScanSnap iX500の約30cmという幅に比べて、SV600はだいぶスリムに感じる。その分高さはあるが、圧迫感はない。ただし、実際にスキャン作業を行う際には原稿を置くスペースが必要になる。最大で幅52.5cm、奥行き48.4cmだ。A3サイズより2回りほど広いスペースということになる。

 スキャナの電源を入れる前に、まずはドライバソフトのScanSnap ManagerなどをPCにインストールする。発売直後に対応しているOSはWindowsのみで、Mac OS用のドライバソフトは2013年秋に無償で提供する予定とのことだ。ドライバソフトのほかに、スキャンしたデータを整理するための「ScanSnap Organizer」、名刺管理用の「CardMinder」、PDF編集用の「Adobe Acrobat XI Standard 日本語版」などが同梱される。

スキャン後の画像の補正機能が充実

スキャン作業時にはSV600本体の下に黒い背景マットを敷く。黒いマットの上に白い原稿を置くと原稿と背景の境界がはっきりし、スキャン後にデータ化する箇所の編集がしやすい
スキャン作業時にはSV600本体の下に黒い背景マットを敷く。黒いマットの上に白い原稿を置くと原稿と背景の境界がはっきりし、スキャン後にデータ化する箇所の編集がしやすい

 スキャンは、スキャンしたい原稿をSV600本体の真下に置いて行う。「Scan」と書いてあるスキャンボタンを押すとスキャナ上部が開いて、原稿の奥から手前へと原稿をスキャンする。VIテクノロジ(Versatile Imaging Technology)という技術により、大きな原稿でも原稿全体にピントのあった高画質のスキャンを実現している。

 従来型のドキュメントスキャナとは異なり、スキャナの原稿台と原稿とを密着させてスキャンするため、厚みのある本などをスキャンすると、スキャン後の画像には、本のノドに影が出たり、ページにゆがみが出たりする。そこで、こうした余分な情報を削除して補正する機能が充実している。

SV600本体が倒れないようにするためのストッパーも付属している。ストッパーの裏面は、机などに吸着するようにできている。ただし、今回の撮影は紙の上で行ったため、スキャン中の写真等ではストッパーを使用していない
SV600本体が倒れないようにするためのストッパーも付属している。ストッパーの裏面は、机などに吸着するようにできている。ただし、今回の撮影は紙の上で行ったため、スキャン中の写真等ではストッパーを使用していない

 補正前は本と背景マットが一緒に映った写真になるが、本の輪郭と、ページの中央を指定して補正すると、ゆがみや影がきれいに修正され、フラットに近い状態にまで整えてくれる。また、ページの中央を指定することで、見開きでスキャンしたページを1ページずつ分割する機能も備わっている。複数ページの補正を一気に実行することもできる(手動で補正が必要なページが残る場合もある)。

 さらに、本を手で押さえながらスキャンした時に写りこむ、自分の指を消すための「ポイントレタッチ機能」もかなり優秀だ。写り込んだ指の範囲をツールで指定し、補正実行ボタンをクリックするだけで見事に削除される。しかしながら、この作業は指を1つずつ指定して消していく必要があるため、3ページ分くらい修正した時点で疲れてくる。なるべく指が写らないようにスキャンするのが一番だ。

  • 大型本の代表的なものとして、楽譜をスキャンしている。この程度のページのゆがみであれば、指でページを押さえなくても、かなりきれいに補正される

  • ポイントレタッチ機能を使う。写りこんだ指の上をツールで囲んで、修正を行う範囲を指定する

  • 補正を実行すると、きれいに指が消えた

  • クイックメニューを使えば、スキャン後の画像の保存先を簡単に決められる

  • 解像度は4種類。高解像度でスキャンするにつれて、ファイルサイズは大きくなることに注意が必要だ。今回は、「自動解像度」を選択してスキャンしている

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