Steve Ballmer氏は壇上で長時間じっと立っているような人物ではない。しかし、米国時間6月27日の朝はほんの短い間、非常に献身的なMicrosoft開発者たちの前で、左腕を折り曲げて手を腰に当てるポーズを取った。
好戦的なポーズだ。挑戦的ではあるが、Microsoftによる「Windows」の公的な再構築への自信を示すものでもあった。同社の最高経営責任者(CEO)のBallmer氏はBuild 2013で、物事がいつも順調に進んでいるわけではないかもしれないが、Microsoftは正しい方向に進んでいると主張した。
Ballmer氏はMicrosoftの新しい理念を強調し、同氏が「高速な製品リリースの流れ」と呼ぶものを提示した。その言葉はGoogleが、そして後にMozillaが数年前、6週間ごとにブラウザをアップデートする計画を説明する際に用いた「高速リリースサイクル」という言葉とほぼ同じだ。Ballmer氏によれば、これはMicrosoftにとって、同社エコシステム内のアップデートに対するより迅速なアプローチを意味するという。
「Microsoftは、ソフトウェア企業から、ソフトウェア、デバイス、サービスを構築する企業へと移行しているところだ」と同氏は述べ、その移行が同社の将来の「土台」となるものだと説明した。タッチスクリーンに大きく依存するPC変革の最中に「Windows 8」が発売されてから1年も経たないうちに、「Windows 8.1」がまもなく一般向けに公開されるのはそのためだ。
確かに重大な主張だが、何といってもこれは基調講演だ。基調講演というのは、壮大ではあるが全体的なテーマを幹部陣が明確に説明しようとする場である。しかし、その主張と、Ballmer氏がBuild初日に行ったプレゼンテーションのそれ以外の部分に、どのような整合性があるのか。同氏のプレゼンテーションには、そうした主張を納得させるだけの一貫性が欠けていた。
Ballmer氏の基調講演は最初から妨害されていたようなものだ。27日午前の要点だったWindows 8.1の正式な一般発表は、何カ月も前から度重なるリークによって台無しにされてきたからだ。さらに、実際に発表されたニュースは非常に味気ないもので、Ballmer氏とその同僚らは、既に知られていることを繰り返し述べただけだった。
Windows 8.1には、デスクトップモードで起動できるオプションや、デスクトップタスクバーに戻るスタートボタンの変種、マルチモニターサポートの大幅な改善が含まれるほか、方針の変更によって「Internet Explorer 11」(IE11)がついに「WebGL」と「SPDY」に対応する。
確かに、Windows 8.1にはほかにも多くの要素が含まれている。しかし問題は、生まれ変わったWindowsの力を示すデモンストレーションとして、27日午前のプレゼンテーションの構成は最高のものではなかったということだ。Microsoftがメッセージの伝達を誤れば誤るほど、一般の人々は、同社がその宣伝文句によって売り込もうとしている製品に我慢できなくなるだろう。
Ballmer氏は、多くのユーザーから要望のあったデスクトップモードの機能強化を「洗練されたブレンド」と表現したが、Steve Sinofsky氏が去った後にWindows部門を率いているJulie Larson-Green氏が提供したカフェインは、観衆にほとんど刺激を与えなかった。
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