Larson-Green氏はものすごい勢いで長時間にわたるデモを駆け抜け、「NOOK」アプリからTwitter、ソフトキーボード、数カ月前に行った「Mail」アプリの改善、「Search」チャームへのコンテキスト検索の追加まで、ありとあらゆることに言及した。
2012年8月に米CNETのWindows 8レビューを執筆したとき、筆者の大きな懸念の1つは、Microsoftが新しいインターフェースの使い方のデモに十分な時間を費やさなかったことだった。それはBuildの基調講演でも変わることはなく、登壇した幹部陣は、長い時間をかけて情報量の多いデモを行うことよりも、多くの断片的な情報を紹介することを選んだ。
Larson-Green氏の後に、MicrosoftのWindows Web Services担当バイスプレジデントであるAntoine Leblond氏が登場し、開発者がWindows 8向けの高品質アプリを作成する上で新しい「Visual Studio 2013」がどのように役立つかを示すデモを行った。Build 2013に集まった開発者たちでさえ、壇上でコードを見せられることに大いに熱狂することはできなかった。それは、Google I/Oの最もギーク的な瞬間よりもはるかにギーク的だった。そのことも基調講演の要点から逸脱しており、Microsoftの方針に沿うものではない。
Microsoftは無関心な消費者と開発者の両方の支持を得るという極めて大きな難題に直面している。同社は十分なWindows 8チュートリアルによって、「Windows 7」を家庭で使用する消費者の支持を得ようしているが、苦戦を強いられている。さらに、Facebookのような主要なMicrosoftパートナーに、ほかのあらゆるモバイルOSで提供されているアプリを作成してもらうのに多大な時間を要した。こうしたことはすべて、Windowsの未来にとって明るい前兆ではない。たとえBallmer氏の考えが正しくて、「Windows Store」のアプリが10万本を突破しようとしているとしてもだ。
Twitterは早い段階でWindows 8陣営に加わったが、ブラウザメーカーやInstagramなど、ほかの主要開発者がちゅうちょしている(少なくとも慎重になっている)ことは、このOSに何か嫌な雰囲気が漂っていることを示している。この期に及んでも、Windows 8向けの「キラーアプリ」は1つもない。それは、デスクトップレベルのハードウェアの潜在力を活用し、夢中になれるようなモバイルスタイルの体験と統合するものだ。
ウェブカメラからのジェスチャーコントロールといったクールな新機能は、基調講演の中で目立たない場所に追いやられ、観衆から何の反応もないまま終了した「Xbox One」の性急なデモと同じ時間しか与えられなかった。
Ballmer氏は強力な主張とともに基調講演を開始したのかもしれないが、Microsoftの作り出した物語はその主張から逸脱してしまった。基調講演の最後にBallmer氏が戻ってきて、「Project Spark」のクロスプラットフォームゲーム作成ツールのデモを行ったときにようやく、「ソフトウェア、デバイス、サービス」についてより明快な説明を聞くことができた。
Windows 8.1は秀逸で必要とされるWindowsアップグレードであるように思える。Windows開発者にとって、ありがたいものであるはずだ。新生Microsoftと劇的に変わった同社旗艦製品について、人々を納得させるのはBallmer氏の仕事だ。同氏が壇上で見せた自信が本物だったのかどうか、近いうちに分かるはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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