「意志力は消耗する」と言われても、ピンと来ないのが普通だろう。そもそも「意志力」というのは、存在するのか。この素朴な疑問に対して、膨大な数の科学的な実験と分析結果を提示し「意志力」は存在し、筋肉のように疲労もするし鍛えることもできると断言しているのが本書の著者、ロイ・バウマイスター氏である。
とにかく朝から晩まで、何かを決断し続けることは不可能だということを知らなくてはいけない。仕事上の重要な決断だけではなく、「ダイエット中だからこの美味しそうなチョコレートを我慢しよう」といった他愛もない決断でも、積み重なると疲弊し、何も考えたくなくなるのだ。
意志力が弱まると、些細なことでけんかをしたり、どか食いをしたり、考えなしの行動に走ってしまうことになる。これだけでも、思い当たる節のある人は多いのではないか。しかし決して悲観する必要はない。意志力は鍛えることができるのだ。
食べ方を少し変えるだけで、意志力の変化を実感する場合もあるだろうし、意志力をなるべく使わないようにするという合理的な方法を取ることもできる。つまり意志力は有限であり、消耗すると使えなくなり、回復させるには適度な栄養と睡眠が必要であることを理解すれば、実生活で意志力をうまく活用できるようになるのだ。
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