ニューヨーク発--Appleと出版社との取り決めが一部の電子書籍価格を引き上げる結果をもたらしたことを同社の上級幹部が認め、Appleの策略が消費者を苦しめているとする米司法省の主張を補強する形となった。
Appleのインターネットソフトウェアおよびサービス担当シニアバイスプレジデントEddy Cue氏は米国時間6月13日、マンハッタン南部にある米連邦地方裁判所の法廷で証言し、Appleが音楽市場を、Amazonが書籍市場を独占してAmazonと市場を分け合うことを考えたとも述べた。
Cue氏の証言は訴訟の重要なポイントで、米司法省はAppleが出版社との取り決めによって故意に電子書籍の価格を釣り上げたと証明しようとしている。Appleは何も間違ったことはしていないという姿勢のままだ。
しかしCue氏は、AppleがiBookstoreを開設した2010年4月以降、The New York Timesベストセラーなど一部デジタル書籍の価格が上昇し、2012年までじりじりと上がっていることを認めた。全ての出版社がAmazonの9.99ドル設定には問題があるとCue氏に語ったことから、これは驚くような価格上昇ではないと同氏は指摘した。
司法省側は、消費者が電子書籍に9.99ドルでなく12.99ドルもしくは14.99ドル支払わなければならないことをAppleは気に留めなかったと指摘しようとしたが、Cue氏は次のように異を唱えた。
「消費者は私の価格設定により保護されていた。われわれは消費者を、それはそれは公平に扱おうとしていたと考えている」(Cue氏)
iBookstoreが開設されてから電子書籍の価格が実際に上がったかどうかについて、法廷での議論が続いている。Appleの弁護士は価格が下がったと主張しているが、司法省はAppleが市場に参入した後「劇的に」急上昇したと述べている。専門家として司法省側の証人となったカリフォルニア大学バークレー校名誉教授のRichard Gilbert氏(経済学)は同日、全般的な平均価格が下がったからといって消費者に損害がない、もしくは特定の部門が値上がりしていないということにはならないと証言した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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