Appleと米司法省は米国時間6月3日、電子書籍の価格操作をめぐる注目の裁判で、ついに法廷で対決した。既に一方の当事者は、不当に不利な立場にあるとして懸念を表明している。
米司法省は裁判所に対し、Appleが出版社に価格の引き上げを迫り、価格設定モデルをAmazonとの競争で有利になるよう変更する企ての首謀者であることを証明しようとしている。Appleはそれに対抗し、米政府がApple幹部と出版社らの間で交わされたさまざまな電子メールを文脈を無視して取り上げたと主張するとともに、自社の電子書籍事業への参入が市場に貢献したと述べた。
両当事者は3日にマンハッタン南部の満席の法廷で冒頭陳述を行ったが、Apple側が自身の弁護を開始すると、同社の弁護士の1人がAppleは公平な扱いを受けていない可能性があるとの懸念を表明した。Apple側弁護士のOrin Snyder氏は、5月に行われた公判前審理での、米連邦地方裁判所のDenise Cote判事による司法省寄りの発言は、同判事がApple側に非があるという考えを既に持っていることを示唆していると述べた。
一方、司法省の冒頭陳述は1時間半に及んだ。司法省側弁護士のLawrence Buterman氏は、Appleと出版社幹部との間でやりとりされた電子メールを持ち出した。これらの幹部の多くが、3週間におよぶ裁判期間中に証言に立つ予定だ。米政府側が主な論点にしようとしているのは、Appleが出版社と共謀して電子書籍の価格設定を大幅に変更し、そのことが結果的に消費者に高い金額を支払わせることになり、電子書籍の販売で長い間支配的地位にあったAmazonの活動の場を様変わりさせることになったという点だ。
また、司法省は、Appleが電子書籍の価格設定計画における首謀者であり、こうした計画がApple抜きでは実現しなかったと主張した。特に、司法省は、Appleのデジタルストア全体を統括するシニアバイスプレジデントのEddy Cue氏について、同氏の役割がAppleの電子書籍戦略と価格設定を構築することにあったと指摘した。Buterman氏が「共謀団のリーダー」と呼んだCue氏は、6月13日に証言する予定だ。
Apple側の論拠はこれとは反対の立場をとっており、さまざまな出版社とのやりとりはすべて、新たな市場への参入に伴う通常のビジネス慣行の一環であったと示唆している。さらに、出版社との間の取り決めは「賛否両論ある中で激論を経た」ものであり、密室での取引で作られた欲深い取り決めではないとした。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス