日本マイクロソフトは、同社ブランドのタブレット端末「Surface RT」の参考価格を1万円値下げする。
6月14日~7月14日の期間限定で、4万9800円の32Gバイト版を3万9800円に、5万7800円の64Gバイト版を4万7800円とする。タッチカバーをセットにした、5万7800円の32Gバイト版を4万7800円に、同じく6万5800円の64Gバイト版を5万5800円とする。6月7日から発売しているインテルCPUと「Windows 8 Pro」を搭載した「Surface Pro」は値下げはしない。
日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏は「Surface RTは、予想を上回る販売実績となっているが、エントリーユーザーに、さらにお手軽に使ってもらいたいと考えて価格を見直した」と背景を説明した。
「3万9800円からという新価格は『iPad mini』に比べて画面が大きく、Officeが標準搭載され、それでいて3000円安い。『iPad Retinaモデル』の32Gバイト版と比べると2万円安い。圧倒的な競争力を持った製品になる。Surface RTはiPad対抗の製品として、さらに力強く推進していくことになる」(樋口氏)
アップルは、5月31日に円安を背景に価格上昇に踏み切った。iPad miniは16Gバイト版が2万8800円から3万2800円へと4000円の値上げ、32Gバイト版が3万6800円から4万2800円へと6000円の値上げ、64Gバイト版が4万4800円から5万2800円と8000円の値上げとなっていた。
第4世代iPad Wi-Fiモデル 16Gバイト版が4万2800円から4万9800円へと7000円の値上げ、32Gバイト版では、5万0800円から5万9800円へ9000円の値上げ、64Gバイト版が5万8800円から6万9800円へと1万1000円の値上げ、128Gバイト版では6万6800円から7万9800円へと1万3000円の値上げを行っていた。
従来のiPad miniの32Gバイト版は3万6800円と、Surface RTの32Gバイト版の4万9800円に比べて1万3000円安かったが、両社の価格改定で、この価格差が逆転し、Surface RTの方が3000円安くなる。
樋口氏は「5月31日にアップルが値上げに踏み切ったことで、これを機に日本独自の施策として値下げに踏み切った」と語った。
「当社は、タブレットの分野ではチャレンジャーであり、チャレンジャーはチャレンジャーなりの戦略を取る必要がある。値上げをするならば、こちらは値下げをする。『目には目を』ではなく、『目には歯を』の戦略。われわれにとってはチャンスになる。アップルの値上げでタブレットの購入を躊躇しているユーザーに対して、Surface RTの新価格は、しっかりとした値段をつけて対抗していく。新たな魅力あるプライスポイントによって、Surfaceのバリューを訴求していく」と、樋口氏は価格値下げ施策に自信をみせる。
7月14日までの限定としたのは、ボーナス商戦をターゲットにしたため。7月15日以降については「期間限定価格での販売の状況をみて、改めて検討したい」としたほか、「これまでの販売実績に比べて、2~3倍程度の販売増を見込んでいる。製品供給に関しても、安定的に供給できる状況となっている」を意気込みを語った。
日本マイクロソフトでは、Surface RTを「PCみたいなタブレット」、Surface Proを「タブレットみたいなPC」と位置付け、2つの製品を棲み分ける戦略を打ち出していた。
これにより、Surface ProをPCとして展開する一方、Surface RTについてはiPad対抗としてタブレットの提案を進めていく姿勢をみせている。今回のSurface RTの価格引き下げは、同製品がiPad対抗としての位置付けをより明確にするものだと言える。
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