パナソニックは6月11日、モバイルPC「レッツノート」の神戸工場で、2013年度のモバイルPC事業戦略を説明し、夏モデルとなる新商品「レッツノート AX3」シリーズを披露した。
また同日は神戸工場内のショールームのリニューアルオープンセレモニーも開催。歴代の商品ラインアップの展示ブースと、ビジネスでの活用シーンを体験できるブースを併設することで、“見る”ショールームから“体感する”ショールームへと進化させた。
パナソニックでは、1996年からレッツノートの販売を開始。以来(1)事業領域の明確化、(2)一歩先行く商品、(3)顧客とのパートナーシップの3つの視点を持ちながら、PC事業を展開してきた。これらの効果もあり、レッツノートはモバイルPC市場で9年連続シェアナンバーワンを維持しているという。特に国内では企業法人販売が75%と4分の3を占めているのが特徴だ。
また同社では使用する部品にいたるまで一貫して自社生産にこだわっており、1台からでもカスタマイズができる柔軟な生産体制を構築している。さらに顧客が希望するソフトウェアや環境設定を事前に反映して出荷することで、届いたその日からすぐに使えるコンフィグレーションサービスなども提供している。
パナソニック ITプロダクツ事業部 事業部長の原田秀昭氏は「昨今は海外生産品のPCだと顧客は仕様を決めることくらいしかできず、かゆいところまで手が届かない」と指摘。パナソニックとして、今後はさらなる顧客視点に基づいた“一品一様”のカスタマイズを可能にすることで、2012年度に約3割だった法人向けPCのコンフィグレーション率を、2015年度に約7割まで引き上げたいと意気込む。
また同社では端末を販売するだけでなく、顧客から要望の多いHDDの遠隔消去サービスや、OSの移行支援サービスなどもあわせて提供しており、PCにまつわる顧客の悩みをワンストップで解決できると説明。高品質なハードウェアやソリューションを提供する「メイドインジャパンの切り口で引き続き頑張っていきたい」(原田)とした。
同日には、2012年10月に発売されたWindows 8搭載PC「AX2」の後継機となるモバイルPC「レッツノート AX3」シリーズも発表された。AX2は顧客から高い評価を受けたそうだが、そこからさらに寄せられた要望を反映させたモデルがAX3になるという。
AX3では、広視野角で高解像度のIPS液晶パネルと最新の第4世代 Intel Core i7プロセッサを搭載。また、付属のバッテリーパックを装着することで13時間の長時間駆動を実現した。AX2と同様に360度回転するリングノート式ディスプレイであるため、1台でノートPCとタブレットの2役を担う。また、法人向けモデルでは11.6型のコンバーチブルPCにおいて世界最軽量の約1.13kgを実現した。
価格はオープンとしているが、同社のPC直販サイト「マイレッツ倶楽部」での価格は、258GバイトのSSDを搭載した「CF-AX3 プレミアムエディション」が26万3650円から、128GバイトのSSDを搭載した「CF-AX3 ハイパフォーマンスモデル」が22万100円からとなる。モバイルPCやタブレット市場の低価格化が進んでいることを考えると、強気な価格設定と言えるだろう。
原田氏は、モバイルPCやタブレット市場全体が低価格化しているのは揺るぎない事実と前置きした上で「私どもがフォーカスしているビジネスセグメントについては価格よりも生産性向上という視点でちゃんとしたものが欲しいという要望が非常に多い。価格帯は高いかもしれないが、3~4年使った時のROI(投資利益率)についてはお役に立てると思っている」と説明した。
同日の説明会には、パナソニックの戦略的パートナーである日本マイクロソフト代表取締役社長の樋口泰行氏が出席。同社の最新OS「Windows 8」の近況として、2012年10月26日の発売から約7カ月で1億ライセンスを提供していることを明かした。
また樋口氏は、iPadをはじめとした従来のタブレットについても言及。特に企業用途では管理性やセキュリティ、PC向けソフトウェアへの対応などが十分ではないと指摘する。その理由について「これまでのWindowsの資産を断ち切る形で登場しているからだ。やはり、これまでの流れを汲んだ形のタブレットのあり方が問われているのではないか」と語り、タブレットとしても使えるWindow 8ベースのPCであれで、企業のニーズにも応えられると強調する。
さらに、企業向けPCには堅牢性やバッテリ駆動時間、屋外でも使用できる高いパフォーマンスなどが求められると説明し「さまざまな要素を妥協なく徹底追及しているのがレッツノートの哲学ではないか」とコメント。今後もパナソニックとのパートナーシップを強固にしていく姿勢を示した。
説明会では同じくパナソニックの戦略的パートナーであるインテル取締役副社長の宗像義恵氏も登壇。レッツノート AX3に搭載した第4世代 Intel Coreプロセッサについて「過去10年間で最大の技術革新をしたCPU」と語り、クリエイティビティやゲーム、教育など多彩な用途で優れた処理能力を発揮すると自信を見せる。
続けて「パナソニックはこれまでビジネスモバイルにおいて革新性の高さで業界をリードしており新製品にも数多くの技術革新が組み込まれている。これにインテル第4世代CPUの最新技術が組み合わさることで日本が誇る妥協を許さないビジネスモバイルが実現する」と語り、パナソニックとの協力関係を継続すると改めて宣言した。
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