Tim Cook氏はこの数年間、Appleの舵取りを巧みにこなし、Steve Jobs氏が死去した後の困難な移行期間を乗り切ってきた。Apple製品は各分野を象徴する存在であり続け、売上高は数々の新記録を樹立し、株価は一時700ドルを超えた。そして同社は、スマートフォンとタブレットの業界における利益の大部分を獲得することに成功した。
しかし、Cook氏は今、最高経営責任者(CEO)に就任以来、最大の試練を迎えている。これには「最近、Appleが何かしてくれたか」という疑問をはじめ、いくつか理由がある。だが同氏は、競争や製品発表のペースの鈍化についてあまり心配していないようだ。
サムスンは新製品「GALAXY S4」をはじめとする幅広いスマートフォンラインアップを有し、大規模な広告キャンペーンを展開しており、最も魅力的な携帯電話であるスマートフォン分野において、さらに強力な競合企業となりつつある。同社は、GALAXY S4を1カ月弱の間に60の市場で1000万台出荷したと発表した。これは前機種「GALAXY S III」の同期間における出荷台数の2倍に当たる。Appleは直近の四半期に計3740万台の「iPhone」を出荷した。iPhoneの現行モデルの出荷が開始されたのは2012年9月21日のことだ。
さらに、Googleの「Android」OSは、フィーチャーフォンだけでなくスマートフォンについても、拡大するモバイルデバイス市場の多くのシェアを吸収している。IDCによると、Android搭載携帯電話は2013暦年第1四半期のスマートフォン販売の75%を占め、前年同期の59%からシェアを拡大させたという。Appleは17.3%で、前年同期の23%からシェアを縮小させている。
しかし、Cook氏にとっての勝利は、携帯電話やタブレットを一番多く作ることではない。「それがAppleの拠り所になったことは一度もない。まず間違いないことだが、Appleは最も優れたPCを作っているのであって、最も多くのPCを作っているわけではない。最高の音楽プレーヤーを作ったところ、結果として最も多くのプレーヤーを作ることになった。われわれは最も優れたタブレットを作っており、現在は最も多くのタブレットを作っている。最も優れた携帯電話を作っているが、最も多く作っているわけではない。人間の体と同じように、企業の健康状態や現状を把握する方法はいくつかある。複数の測定基準が必要だ」。Cook氏は先週、D: All Things Dカンファレンスでのインタビューにおいて、このように述べている。
Cook氏は顧客満足度と使用率を測ることを好む。同氏は顧客満足度について、いい意味で「前例のない数字」と述べており、使用率についてはNetMarketShareの調査を引用し、スマートフォンとタブレットからのグローバルウェブトラフィックの59%が「iOS」デバイスからのものであることを紹介した。Appleのシェアが縮小し、株価が下落しているにもかかわらず、Cook氏は同社の生命兆候を好ましく思っている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス