ソーシャルメディアは政府と市民の関係をどう変えるのか--MITラボの研究者が説く - (page 2)

岩本有平 (編集部)2013年06月03日 20時15分

デジタルメディアで「市民が共同で問題を解決する世界に」

 たとえば「アラブの春」と呼ばれるアラブ世界の民主化運動も、これまでにも同様の事例はあったが、携帯電話で撮影した画像や動画がFacebookを通じて広がり、さらにメディアに広がることで、チュニジアの暴動の様子が世界に広がることとなった。東日本大震災後の日本についても、日本在住、海外在住の外国人が中心となって立ち上げた「Safecast.jp(現在のSafecast)」というプロジェクトが、政府がなかなか出さなかった放射能の汚染マップを市民の力で出すに至った。

 ザッカーマン氏はほかにもウガンダの内紛を動画やソーシャルメディアで訴える「KONY 2012」、フランス人アーティストのJRがクラウドファンディングを利用して気仙沼で実施したアートイベント「インサイドアウト」といったプロジェクトを紹介。市民が仲間同士で問題を解決できる「peer problem solving」の例だとした。ただし、KONY 2012では、その後動画の内容に間違いがあるといった批判も多く集まった。もちろん市民が発信する内容にも、間違いがあれば是正が求められるのだと説く。

 また同氏はデジタルメディアが市民による問題解決の方法を変えるだけでなく、「どんな問題が解決可能か」という認識すらも変える可能性があると語った。


MITラボ所長の伊藤穣一氏

 ザッカーマン氏の講演に引き続き、MITラボ所長の伊藤穣一氏が登壇。デジタルメディアが市民と政治の関わりをどう変えていくかについてプレゼンテーションを行った。

 その後第二部では、朝日新聞社デジタル事業本部長の西村陽一氏がコーディネーターを務め、伊藤氏やザ・ハフィントン・ポスト」の米国版オンライン放送局「ザ・ハフィントン・ポスト・ライブ」を統括するロイ・シーコフ氏、朝日新聞社 報道局ソーシャルメディアエディターの山田亜紀子氏が「メディアが未来にできること」をテーマにパネルディスカッションを繰り広げた。パネルディスカッションの様子も追って記事で紹介する。

  • デジタルメディアが市民をどう変えるのか

  • 19世紀からの政治と市民の関わり方

  • る「peer problem solving」の時代に求められるものについて

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